三宅榛名

三宅 榛名

三宅 榛名（みやけ はるな、1942年〈昭和17年〉9月20日 - ）は、日本の作曲家、そしてピアニストとして知られています。東京都に生まれた彼女は、音楽の道を究めるべく渡米し、著名なジュリアード音楽院作曲科を修了しました。

キャリアの初期は、ニューヨークのコンポーザーズ・フォーラムでデビューを飾り、さらにリンカーン・センター内に新設されたホールのこけら落としのために作品を委嘱されるなど、国際的な舞台で注目を集めました。帰国後も精力的に活動を続け、「ピアノ・ソナタ」を発表するなど、自身の創作活動を展開しました。また、教育者としても、フェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科で教授を務めました。

三宅榛名は、既成概念にとらわれず「自身の心に響く面白い音楽」を追求することを創作の根本方針としました。その姿勢を体現する場として、1977年（昭和52年）から1985年（昭和60年）にかけて、東京・渋谷のジァン・ジァンで連続コンサート「現代音楽は私」を企画・開催しました。このシリーズでは、自作曲を中心に構成し、年間2回のペースで行われました。これは、現代都市における人々の日常に寄り添い、より身近に感じられる音楽を届けたいという彼女の願いから生まれたものでした。国際的な評価も高く、ロッケン・ハウス国際音楽祭やハイデルベルク現代音楽祭といった海外の主要な音楽祭にも招かれ、演奏や作品発表を行いました。

ピアニスト、特に即興演奏家としての活動も特筆されます。ウェイン・ショーター、高橋悠治、山下洋輔といった国内外の錚々たる顔ぶれを含む、多様なジャンルの音楽家たちとの共演を通じて、その音楽的視野をさらに広げました。

彼女が生み出した作品は多岐にわたります。代表的なものとして、「憂愁の時――ダブル・コンチェルト」や「プレイ・タイム――ウィンド・オーケストラのための」、「why not,my baby?」シリーズ、そして「ミニマム・オーケストラ集」などが挙げられます。CD作品集には、その音楽世界を収めた『空気の音楽』や、板倉駿夫氏との共作『ほんの47分の地獄』といった主要なタイトルがあります。著書においても、『アイヴスを聴いてごらんよ』や『音楽未来通信』など、音楽に関する洞察を綴った著作を多数発表しています。また、NHK-FMの番組「世界音楽めぐり」ではパーソナリティーを務め、広く音楽を紹介する役割も担いました。

現在、三宅榛名氏は、既存の「現代音楽」に対する問題提起や、子育て、体調の問題などを理由に、対外的な活動を休止しています。直近のピアノ録音としては、2004年に高瀬アキ氏との二台ピアノで行われたライブ録音を収めたアルバム『耳のごちそう』があります。

以下に、主な作品、楽譜、ディスコグラフィー、著書の一部をリストアップします。

主な作品

弦楽オーケストラの詩曲（E.ベンジャミン賞受賞）
6月の6つの声（ニューヨーク、リンカーン・センター委嘱）
ピアノ・ソナタ第3番
クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための四重奏
ピッコロ、フルート、ギターのための音楽
「why not,my baby?」シリーズ
ミニマム・オーケストラ集
ポエム・ハーモニカ

主な楽譜

『クラリネット・ヴァイオリン・チェロ・ピアノのための四重奏曲』（音楽之友社）
『ピアノ・ソナタ第3番』（音楽之友社）
『日本のうた変奏曲集 「鉄道唱歌」から「赤とんぼ」まで こどものためのピアノ曲集』（カワイ出版）

主なディスコグラフィー

『エクスチェンジ』（山下洋輔と共作）
『ほんの47分の地獄-三宅榛名・音楽・現在-』（板倉駿夫と共作）
『空気の音楽』（高橋悠治、岡田知之と共作）
『耳のごちそう OHRENSCHMAUS』（高瀬アキとの二台ピアノ）

主な著書

『アイヴスを聴いてごらんよ』（筑摩書房）
『地球は音楽のざわめき』（青土社）
『振りむけばダ・ヴィンチ―三宅榛名創作現場目撃インタヴュー集』（文藝春秋）
『音楽未来通信』（晶文社）
『作曲家の生活』（晶文社）

三宅榛名の活動は、クラシック音楽の枠に留まらず、即興演奏や他ジャンルとの交流を通じて、常に新しい音楽表現を探求し続けた軌跡と言えるでしょう。

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