三式陸上初歩練習機

三式陸上初歩練習機（K2Y）

三式陸上初歩練習機、通称K2Yは、大日本帝国海軍が1930年に採用した複座の練習機です。この機体は、主に海軍の操縦士養成に利用されました。設計は1928年に始まり、当時の主力機であったアブロ式練習機の後継として開発されたものです。試作機が完成したのは1929年4月ですが、制式採用は翌年の1月に行われました。

生産と用途

この機体は、川西航空機や三菱重工業、渡辺鉄工所、日本飛行機、昭和飛行機工業といった各社によって生産され、1940年には生産が終了しました。総生産機数は360機に及び、海軍では太平洋戦争の初期に使用されました。また、民間への払い下げ機体も多く、特に日本学生航空連盟などの民間航空団体で広く利用されました。

機体の特徴

K2Yは、複葉・単発式の複座機で、主に木製の羽布張りの空気力学デザインが施されています。この機体は、アブロ式の設計を基にしながらも、さまざまな設計変更が加えられており、特に主翼や尾翼、降着装置においても改良が見られます。高い安定性や操縦性が評価され、曲技飛行にも対応可能な性能を持っていました。

エンジンと性能

第一段階では、三菱製のモングースエンジン（最大150 hp）が搭載された三式一号陸上初歩練習機（K2Y1）が生産されていましたが、その後は瓦斯電製の神風エンジン（最大160 hp）を搭載した改良型が登場し、三式二号陸上初歩練習機（K2Y2）として制式採用されることになりました。これにより、機体の性能は大幅に向上し、速度や上昇性が改善されました。

諸元

K2Y2の具体的な諸元は以下の通りです：

• - 全長：8.60 m
• - 全幅：10.90 m
• - 全高：3.31 m
• - 主翼面積：29.43 m²
• - 自重：657 kg
• - 全備重量：890 kg
• - エンジン：瓦斯電 神風二型 空冷星型7気筒（最大160 hp） × 1
• - 最大速度：162 km/h
• - 巡航速度：102 km/h
• - 実用上昇限度：4,600 m
• - 航続距離：419 km
• - 乗員：2名

その他のモデル

また、水上機型である三式一号水上初歩練習機（K2Y1）も試作されましたが、こちらは量産には至りませんでした。さらには、民間では東京航空が払い下げたK2Yを改造し、相羽式ツバメ六型および七型の軽旅客機に仕立てるプロジェクトもありました。

このように、三式陸上初歩練習機は、その設計と性能によって海軍及び民間において長期間にわたって活用されました。

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