三戸景道

三戸景道（みと かげみち）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて生きた武将です。彼の生涯は、激動の時代を反映し、様々な勢力との関わりの中で展開されました。

生い立ちと初期の仕官

天文7年（1538年）、相模三浦氏の庶流とされる三戸義宣の子として誕生しました。初期には扇谷上杉家の上杉朝定に仕えていましたが、河越城の戦いにおいて朝定が北条氏康に敗れると、山内上杉家の上杉憲政を頼ることになります。しかし、憲政もまた氏康によって越後国へと追われ、景道は義兄にあたる岩付城主・太田資正を頼りました。

太田資正との連携

その後、第二次国府台合戦を経て、資正は後北条氏と内通した嫡男・氏資によって岩付城を追放され、常陸国の佐竹義重のもとへ逃れます。景道もまた、資正の妹である室と共にこれに従いました。以後、景道は資正と行動を共にし、その側近として活動しました。

越相同盟の締結後、上杉謙信と資正の関係が悪化すると、謙信は資正の説得を試みます。その際、謙信は景道の室（としやう）に対し、資正との和解の仲介を依頼する手紙を送ったことが知られています。この書簡は、景道の室が資正にとって信頼の置ける人物であり、両者の関係修復に重要な役割を期待されていたことを示唆しています。

後期

資正の死後も景道は常陸に留まり、関ヶ原の戦い後の佐竹氏の移封には従わず、土浦藩主・松平信一に仕えました。元和3年（1617年）、景道は波乱に満ちた生涯を終えました。

三戸四郎平興義について

近年、「三戸四郎平興義」という人物の存在を示す記録が発見されました。この記録によれば、興義は上杉朝興から偏諱を受け、太田美濃守（資正）の妹を室としていたとされています。もしこの記録が正しければ、三戸義宣と景道の間に、興義という人物が存在したことになります。この新史料は、三戸氏の系譜や太田氏との婚姻関係について、新たな解釈を生む可能性を秘めています。

三戸景道は、戦国時代の動乱期を生き抜き、様々な主君に仕えながらも、太田資正との深い絆を保ち続けた武将でした。彼の生涯は、当時の武士の生き方や人間関係を理解する上で貴重な事例と言えるでしょう。

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