上杉憲政

上杉憲政（うえすぎ のりまさ）とは

上杉憲政は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、上野国（現在の群馬県）を拠点とした大名です。室町幕府の関東管領という重要な役職にも就いていました。山内上杉家という名門の15代目当主であり、その生涯は戦乱の世を象徴するものでした。

生涯

家督相続

1523年、上杉憲房の子として生まれた憲政は、幼くして父を亡くします。当時3歳だったため、父の養子である上杉憲寛が家督を継ぎました。しかし、1531年に関東享禄の内乱が起こり、憲政を支持する勢力が勝利したことで、彼は山内上杉家の当主となり、関東管領にも就任しました。この時、古河公方家内部の対立も収束に向かいました。

北条氏との戦い

1541年、信濃国（現在の長野県）で武田信虎らが侵攻を開始。上野国にもその影響が及び、憲政は信濃へ出兵します。しかし、この頃から後北条氏が勢力を拡大し、憲政は苦戦を強いられます。1545年には、宿敵である扇谷上杉家の上杉朝定と同盟を結び、古河公方の足利晴氏も味方に引き入れましたが、1546年の河越城の戦いで北条氏康に大敗し、大きな損害を出してしまいます。

その後、「憲当」と改名し勢力回復を図りましたが、1547年には武田晴信（信玄）に再び敗北。武蔵国（現在の東京都、埼玉県の一部）では、家臣たちが次々と離反し、憲政は次第に上野国へと追い詰められていきます。

平井城落城と越後入り

1552年、居城である平井城が北条軍に包囲され落城。憲政は家臣を頼ろうとするも、皆北条氏に降伏しており、越後国の長尾景虎（後の上杉謙信）を頼って落ち延びます。この際、嫡男の龍若丸は置き去りにされ、後に北条氏によって処刑されたという説もあります。越後入りについては異説もあり、1557年や1558年とする説も存在します。

関東管領職の譲渡

越後に入った憲政は、長尾景虎を養子とし、1561年には関東管領職を譲りました。この時、景虎は「上杉政虎」と名乗り、上杉家の正式な後継者となりました。その後、憲政は隠居し「光徹」と号しました。

最期

1578年に謙信が亡くなると、養子の上杉景虎と景勝の間で家督争い（御館の乱）が勃発。憲政は景虎を支持しましたが、景勝が優勢となり、1579年、憲政は和睦交渉のため春日山城に向かう途中で、景勝方の武士に討たれ、波乱に満ちた生涯を終えました。享年57歳。

人物・逸話

『甲陽軍鑑』では、大勢力を持ちながらも家を滅ぼしてしまったと評され、北条氏康との戦いでは、自身が出陣せず配下に任せていたことを批判されています。また、鹿島神宮に納めた願文には、北条氏討滅を誓う言葉が記されています。佐竹氏に保護を求めたが拒否されたという逸話もありますが、佐竹氏側の資料にしか見られず、信憑性に疑問が残ります。

偏諱を受けた人物

上杉政虎（養嗣子、初め長尾景虎、のちの上杉謙信）
長尾憲景（家臣、白井長尾家）
長尾当長（當長）（家臣（関東管領家家宰））

系譜

上杉憲政は、藤原氏の流れを汲む名門の家柄でした。その系譜は、天児屋命から始まり、藤原鎌足、藤原不比等、そして上杉重房、上杉頼重、上杉憲房、上杉憲顕、上杉憲方へと続きます。

子孫

越後亡命後、3人の子をもうけたとされています。龍若丸、憲藤、憲重の3人が知られていますが、いずれも御館の乱で命を落としました。養女の妙耕院は、秋元景朝の室となり、秋元長朝を産み、長朝は江戸幕府で大名として活躍しました。

関連作品

上杉憲政は、多くの歴史ドラマで描かれています。

天と地と（1969年、NHK大河ドラマ、演：大山克巳）
武田信玄（1988年、NHK大河ドラマ、演：滝田裕介）
風林火山（2007年、NHK大河ドラマ、演：市川左團次）
* 天と地と（2008年、テレビ朝日、演：吹越満）

これらの作品を通して、上杉憲政の生涯と激動の時代を垣間見ることができます。

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