三木おろし

三木おろしの概要

三木おろし（みきおろし）とは、1975年から1976年にかけて起きた自由民主党内の倒閣運動であり、当時の内閣総理大臣であった三木武夫の退陣を目的としたものである。この運動は、前半を「第一次三木おろし」、後半を「第二次三木おろし」と呼ぶことがある。

背景と経緯

この運動の端緒は、1976年に発生したロッキード事件にある。事件の発覚後、三木は「日本の政治の名誉にかけて真相を明らかにする必要がある」と表明し、衆議院予算委員長である荒舩清十郎を支援して、3人の証人喚問を実施した。これにより、事件の真相が明らかにされることとなった。

三木は、かつて田中政権によって地元の参議院選挙区で自身の派閥の議員が公認を外されたことに遺恨を抱えていた。このため、三木の事件解明への姿勢は、党内の一部からは報復的な動きと見なされ、反発を招くこととなった。三木政権の生みの親でもあった椎名悦三郎は、「はしゃぎすぎ」と発言し、三木を退陣させるための動きを強めた。この時期が「第一次三木おろし」と呼ばれる。

しかし、この第一次三木おろしは、マスコミからロッキード隠しと厳しく批判され、一時的に収束する。また、1976年7月27日には田中角栄が逮捕されるが、これにより三木おろしは再び活発化することとなる。8月19日には、反主流派の6派が中心になって自民党議員277人によって挙党体制確立協議会（挙党協）が結成され、「第二次三木おろし」が開始された。

反発と内閣改造

挙党協は三木首相に対し退陣要求を突きつけるが、三木政権を支持する派閥は次第に減っていく。9月3日には、田中派と大平派が在京するよう禁足令を出すなど、政治の緊張が高まっていく。三木は「ロッキード事件の解明」を支持基盤に、衆議院解散をもくろんだが、閣僚は解散に拒否的であり、最終的には任期満了選挙を選択することとなった。

9月14日、三木は解散を行わないことを宣言し、党役員の人事改選を巡って反主流派との軋轢が生じる。これに対抗するため、三木は閣僚を入れ替え、権力の維持を試みたが、党内の反発は止まらなかった。反主流派は党大会の開催を要求し、幹事長である内田は、三木が平和裡に退陣する道を模索することとなる。

総選挙と退陣

12月には、総選挙が行われることとなるが、挙党協のメンバーは自民党公認を受けながら、自ら選対本部を設置し、自民党分裂選挙の様相を呈していく。結果として、自民党は結党以来初めて過半数割れを喫し、三木内閣は責任を取り退陣した。次に福田が総理総裁に就任し、福田内閣が発足される。

その後と余波

三木おろしの混乱の中、9月6日には函館空港でのベレンコ中尉亡命事件が発生するが、三木政権はその対応に追われ、十分な対処ができなかった。この事件は、その後の政局にも影響を及ぼすことになる。

以上のように、三木おろしは日本の政治史において重要な転機を迎えた出来事であり、その影響は今でも語り継がれている。政治的な権力闘争や派閥の動きがいかに政局を揺るがすか、その一端を垣間見ることができる。

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