三木多聞

三木多聞：日本の美術を彩った評論家

三木多聞（1929年2月6日-2018年4月23日）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した、日本の美術評論家です。日本の美術界に多大な影響を与えた氏の生涯と業績について、詳しく見ていきましょう。

早稲田大学卒業から美術館長へ

東京に生まれた三木氏は、早稲田大学文学部を卒業後、東京国立近代美術館に勤務。その後、文化庁文化財保護部企画官として活躍しました。これらの経験は、氏の美術に対する深い理解と、行政における手腕を培う上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

その後、1986年には国立国際美術館長に就任。1992年には徳島県立近代美術館長に就任し、その後も顧問として尽力しました。さらに東京都写真美術館館長、名誉館長を歴任するなど、日本の美術館における指導的立場を担い、日本の美術界の発展に貢献しました。

多岐にわたる活動と業績

三木氏の活動は、美術館の運営にとどまりません。数々の著書や共編著を発表し、美術評論家としての力量を発揮しました。『近代絵画のみかた 美と表現』など、美術鑑賞の入門書として高く評価された作品も数多くあります。

共編著においては、『現代日本美術全集』や『現代世界美術全集』といった、日本の美術史を考える上で重要なシリーズに参加。また、『日本の名画』シリーズでは、岡鹿之助の作品を深く掘り下げ、一般の人々にも分かりやすく紹介しました。これらの業績は、日本の美術史研究に大きな足跡を残しています。

さらに、『日本の美術館』や『昭和の文化遺産』といった、日本の美術を取り巻く環境や歴史を解説した著作も手掛けています。これらは、美術史研究だけでなく、美術行政や文化政策を考える上でも重要な資料となっています。

晩年には、三木宗策氏（三木多聞氏の父）の木彫に関する私家版の書籍も出版しています。これは、氏の美術への関心が、個人的な範囲を超えて、家族の歴史にも深く根ざしていたことを示しています。

功績とその後

これらの多大な貢献により、2000年には勲三等旭日中綬章を受章しました。日本の美術界における氏の功績が、国家レベルでも高く評価された証と言えるでしょう。

2018年4月23日、急性心不全のため89歳で逝去されました。日本の美術界に大きな損失をもたらしましたが、氏の残した著作や活動は、これからも日本の美術を研究する人々、そして美術を愛する人々にとって、貴重な財産として受け継がれていくことでしょう。

まとめ

三木多聞氏は、美術評論家、美術館長として、日本の美術界に多大な貢献をしました。数々の著書や美術館運営を通じた活動は、日本の美術史研究や美術行政に大きな影響を与えました。その功績は、これからも高く評価され続け、日本の美術界にその名を残すことでしょう。

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