岡鹿之助

岡鹿之助：昭和の洋画界を彩った点描の巨匠

岡鹿之助（おか しかのすけ、1898年7月2日 - 1978年4月28日）は、昭和時代に活躍した日本の洋画家であり、文化勲章を受章した著名な美術家です。彼は東京都麻布区で出生し、父は劇評家の岡鬼太郎でした。

生い立ちと教育

鹿之助は東京に生まれ、兄弟の中で芸術に特に関心を持つ子供でした。麻布中学校の2年生の時には、岡田三郎助に師事し、素描の技術を磨きました。その後、1919年には東京美術学校（現在の東京芸術大学）の西洋画科に入学し、1924年に卒業しました。

その後、彼はフランスに渡り、本物の西洋絵画を学ぶべく、1939年に帰国するまで、藤田嗣治のもとで修行を重ねました。彼は1940年に春陽会の会員となり、1940年代後半から1950年代にかけて日本の現代美術シーンでひときわ目を引く存在となりました。

点描法と作風

鹿之助の作品は独特な点描法が特徴です。彼は西洋の絵画技術について悩みを抱えており、自らのマチエール（画肌）の質感を向上させるために点描技法に取り組みました。ジョルジュ・スーラの影響を受けたと言われるこのアプローチは、彼の作品に独特の幻想的な風景を生み出しました。

彼の点描法は、異なる色を使用する代わりに、同系色の点を並べることで、視覚的に見た時に新しい感覚を生むというもので、特に雪景色を題材にした作品が多く見受けられます。静けさを感じさせるこれらの風景画は、日本における点描技法の新たな地平を切り開いたと言えます。

代表作と受賞歴

鹿之助の代表作には、1951年制作の『遊蝶花』があり、これは彼自身が搬入後に更に手を加えた逸話が残っています。また、1956年の『雪の発電所』は、現代美術日本展で最優秀賞を受賞し、1957年には毎日美術賞も受賞しました。1964年には日本芸術院賞を受け、1969年に同院の会員となりました。

1972年には文化勲章を受章し、その業績と影響力は日本の美術界に大きく寄与しました。彼は1978年に心筋梗塞で亡くなるまで、創作活動を続けました。

著作活動と編纂

鹿之助は絵画だけでなく、さまざまな著書や画集も手がけました。彼の著作には『フランスの画家たち』や『油絵のマティエール』などがあり、他にも自身の作品をまとめた画集がいくつか存在します。また、彼は日本の彫刻に関する書籍の編纂にも関わり、名画を集めた作品集も手掛けました。

まとめ

岡鹿之助は、昭和時代の美術界において、独自の技法によって印象的な作品を創造し、多くの人々に愛され続けている日本の洋画家です。彼の探求と努力は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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