三枝の国盗りゲーム

『三枝の国盗りゲーム』：日本のテレビ史に刻まれたクイズ番組の傑作

『三枝の国盗りゲーム』は、1977年10月2日から1986年3月20日まで、朝日放送制作でテレビ朝日系列ほかで放送された人気クイズ番組です。全410回にわたるロングラン番組として、多くの視聴者から愛されました。番組タイトルは、1973年のNHK大河ドラマ『国盗り物語』のもじりであると朝日放送の社史に記されています。

司会と出演者

軽妙な語り口と抜群の司会ぶりで知られる桂三枝（現・6代目桂文枝）が番組を仕切りました。彼独特のテンポの良い進行とユーモラスな演出が、番組をさらに盛り上げていました。問題のナレーターは、松本洋子、石原真由美、河野宏子が歴任。アシスタントには、かとうるみこ、野田浩子、辻川恭子が務めました。

放送時間と概要

当初はローカル番組としてスタートしましたが、半年後の1978年4月から全国ネットへ進出。放送時間は、日曜午後3時30分から、日曜夕方6時30分、そして木曜夜7時30分と変遷していきました。

番組は、緑、赤、白、青の4人の解答者（一般視聴者）による個人戦で構成。前半はクイズコーナー、後半は運と戦略が試される坊主めくりゲームで展開されました。初期には解答者の色は緑、赤、青、黄の4色でした。1982年頃からは、解答者席の背景に電飾が設置され、クイズ正解時や優勝決定時に点滅する演出が加わりました。特徴的なのは、長方形のパネルを組み合わせた日本列島を模した電飾パネル。解答者たちは、このパネル上で47都道府県を領地に見立て、熱い戦いを繰り広げました。番組はABCホールで公開収録され、『世界一周双六ゲーム』と隔週で収録されていました。

番組構成と特徴的な演出

番組は、オープニング、クイズコーナー、坊主めくりゲーム、海外旅行チャレンジゲーム、エンディングという流れで構成されていました。オープニングでは、三枝によるタイトルコールと共に、法螺貝の音と矢が的に突き刺さる効果音が流れ、独特の雰囲気を醸し出していました。

チャレンジゲームの後には、提供スポンサーから解答者全員への参加賞が贈呈され、エンディングテーマが流れました。参加賞は、海外旅行用のカバンやセカンドバッグ、ネクタイ、スカーフ、トレーナー、タオルセット、スイス製の腕時計など、豪華なものが用意されていました。

エンディングテーマ曲は、キダ・タロー作曲のディキシーランド・ジャズ風の楽曲。キダ・タローのアルバムにも収録されており、『チューボーですよ!』、『秘密のケンミンSHOW』、『ペット大集合!ポチたま』など、他の番組でも流用されるほど人気を博しました。

クイズコーナー：知略とスピードが試される

前半のクイズコーナーは、早押しクイズが中心。正解者には、都道府県を領地として獲得する権利が与えられました。獲得した領地は、解答者の席の色と同じ色に点灯しました。一般問題に加え、音楽問題、映像問題（「モンタージュ・ボイス・私は誰？」、「反転クイズ」、「ふるさとスポットクイズ」など）が織り込まれ、飽きさせない工夫が凝らされていました。

30の都道府県が領地として埋まると、通常の早押しクイズは終了。週替わりのテーマに基づいた3問の問題が出題されました。音楽問題、3択問題、近似値クイズなど、バラエティに富んだ問題構成が、解答者たちの知力を試しました。正解数に応じて領地を獲得でき、近似値クイズでは、必ず誰かが領地を獲得する仕組みになっていました。

都道府県の中には、「小判」、「ダイヤモンド」、「玉手箱」、「鬼」、「魚」といった特殊なマスが隠されており、これらを引き当てると、賞金、指輪、パソコン、罰ゲーム、ズームアップといった、様々なイベントが待ち受けていました。

なお、お手つきや誤答にはペナルティとして兜が置かれ、3個で失格となりました。しかし、失格中でも問題に正解すれば復帰できる救済措置もありました。前半終了時には、最も多くの領地を獲得した解答者に賞金5万円が贈られました。

坊主めくりゲーム：一発逆転のチャンス

後半は、運と戦略が試される坊主めくりゲーム。クイズコーナーで獲得されなかった8ヶ所の領地を、解答者たちが順番に選び、領地をいかに多く獲得できるかを競いました。坊主を引くとそれまでの領地が没収され、姫を引くと没収された領地も含めて獲得できました。何も描かれていない領地を選んだ場合は、その領地のみを獲得できました。

順番は当初、クイズで獲得した領地が少ない順でしたが、後に獲得領地が少ない順に変更されました。8ヶ所の領地の中に、坊主が2ヶ所、姫が3ヶ所隠されていました。領地の指定が2巡しても、まだ没収されている領地がある場合は、佐渡島のパネルを引くゲームが行われました。佐渡島には、坊主、姫、何も描かれていないパネルがあり、これを引いて最終決着をつけました。

坊主めくりゲーム終了時に最も多くの領地を獲得した解答者が優勝となり、海外旅行の挑戦権を獲得しました。優勝者決定後には、海外旅行をかけた最後のゲームに挑戦。これもまた、「姫か坊主か」の要素を取り入れたもので、ドキドキする展開を見せていました。

番組の制作とスタッフ

チーフプロデューサーには馬場淑郎、村田弘道が、プロデューサーには北條信之が、ディレクターには菊池正和、森本茂樹らが名を連ねました。構成は堤章三、問題作成には秋田千吉、八尋瀧夫、丹波元、北浦康行、本田順一、遠藤あつ子、井上哲基らが携わりました。制作協力は大阪東通、各務プロダクション（現・カガミ）、制作著作は朝日放送でした。

『三枝の国盗りゲーム』は、クイズとゲームの絶妙なバランス、そして桂三枝の軽妙な司会ぶりによって、多くの視聴者を魅了した名番組でした。その独特のゲーム性と演出は、日本のテレビ番組史に大きな足跡を残しました。

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