三栄化学工業

三栄化学工業株式会社と不法投棄事件

三栄化学工業株式会社は青森県八戸市に存在していた産業廃棄物処理業者です。1967年に創業し、1981年には青森県田子町に堆肥工場を設立しました。しかし、1999年に発覚した不法投棄事件によって、その経歴は暗転します。

不法投棄の発覚

この企業は、埼玉県の産業廃棄物処理業者である縣南衛生と共に、青森県三戸郡田子町と岩手県二戸市の境で、なんと125万トンもの産業廃棄物の不法投棄を行っていたことが判明しました。これは国内最大級の不法投棄事件とされています。

この不法投棄された廃棄物の多くは、東京都や埼玉県から持ち込まれたもので、縣南衛生が受託した処理を怠った結果、堆肥様廃棄物や有機溶剤、廃油、食品廃棄物などが含まれています。これには、ダイオキシンを含む廃棄物や医療廃棄物、PCBが残留したコンデンサーも含まれており、非常に深刻な問題となりました。

その後の対応

青森県と岩手県は2004年から協力して廃棄物の撤去作業を開始し、2013年12月には撤去を完了しました。その後も、汚染された地下水の浄化作業が行われ、2022年度まで続けられました。この一連の作業には約480億円ものコストがかかる見込みです。

企業の沿革と法的措置

三栄化学工業は1991年に産業廃棄物中間処理業の許可を取得し、事業を拡大していきましたが、次第に不法投棄の道に進むことになります。1998年には、関連会社の三栄興業が肥料取り締まり法に基づく届出を行い、環境問題の疑念が呼び起こされました。

1999年の夏には、警察の強制捜査が行われ、同年に会長が逮捕され、次の年には会長が自殺するという痛ましい経緯がありました。そのため、事件の全貌を明らかにすることは難しくなりました。2001年には盛岡地方裁判所が両社に対し、当時最高額となる罰金2,000万円の有罪判決を下しました。

事業所と関連会社

三栄化学工業が有していた特殊肥料生産事業場は、青森県三戸郡田子町に位置しており、その地は不法投棄事件の現場となった場所でもあります。また、関連会社の三栄興業株式会社は、堆肥「サンエイグリーン」の生産と保管を手掛けていましたが、実際には産業廃棄物を混ぜて不法投棄を行っていたことが後に明らかとなりました。

結論

三栄化学工業の不法投棄事件は、企業の倫理や法的責任についての大きな教訓となっており、今後の廃棄物処理業界における監視の重要性が再確認されています。この事件を通じて、私たちが持つべき環境意識についても考えさせられました。

もう一度検索