三次元測定機

三次元測定機（CMM）とは

三次元測定機（Coordinate Measuring Machine、略称CMM）は、対象物の三次元的な形状や寸法を正確に測定するための計測機器です。製品の品質管理、設計検証、リバースエンジニアリングなど、幅広い用途で活用されています。

測定の仕組み

三次元測定機は、プローブと呼ばれる接触子（鉄、ルビー、セラミックなどの材質の球体）を用いて、対象物の表面に接触させ、その座標値を検出します。この座標値の集合（点群データ）を解析することで、平面、円、円筒などの幾何学的な要素を抽出したり、それらの要素から幾何公差（平行度、直角度、位置度など）を算出したりすることが可能です。

測定されたデータは、接続されたコンピュータで処理され、3Dモデルとの比較や寸法レポートの作成など、さまざまな形で活用されます。

測定方式による分類

三次元測定機は、測定方式によって大きく分けて2種類存在します。

1. 接触式（タッチプローブ）
- プローブを対象物に接触させて測定します。高精度な測定が可能ですが、柔らかい素材や複雑な形状の測定には不向きな場合があります。
2. 非接触式
- 対象物に接触せずに測定します。以下の種類があります。
- 走査レーザプローブタイプ：レーザー光を照射し、反射光を解析して形状を測定します。高速で広範囲の測定が可能です。
- 光学タイプ：カメラで対象物を撮影し、画像解析によって形状を測定します。微細な形状や表面状態の測定に適しています。

接触式と非接触式を組み合わせた複合型の三次元測定機も存在し、用途に応じて最適な測定方法を選択できます。

操作方式による分類

三次元測定機は、操作方式によって以下の2つに分類されます。

1. マニュアル形
- 測定者が手動でプローブを移動させて測定します。
2. CNC形
- コンピュータ制御により、自動でプローブを移動させて測定します。複雑な形状や大量の測定に適しています。

形状による分類

三次元測定機は、その形状によって以下の種類があります。

1. ブリッジ形
- 橋のような構造で、最も一般的な形状です。
2. ブリッジ移動タイプ
- ブリッジ部が移動するタイプです。
3. テーブル移動タイプ
- 測定テーブルが移動するタイプです。
4. ガイドセパレート形
- ガイドレールが独立しているタイプです。
5. ホリゾンタルアーム形
- 水平アームが可動するタイプです。
6. 多関節アーム形
- 複数の関節を持つアームで、自由度の高い測定が可能です。

主要なメーカー

三次元測定機は、世界中の多くのメーカーで製造されています。以下に、主なメーカーの例を挙げます。

海外メーカー

FARO（アメリカ）
ヘキサゴンメトロジー（スウェーデン）
ブラウン＆シャープ（アメリカ）
ライカ（ドイツ）
ライツ（ドイツ）
テサ（スイス）
ローマ（フランス）
ローマシムコア（フランス）
DEA（イタリア）
マール（ドイツ）
マイクローナ（ドイツ）
コグニテンス（イスラエル）
カールツァイス（ドイツ）

国内メーカー

ミツトヨ
キーエンス
東京精密（カールツァイスと提携）
ニコンインストルメンツカンパニー
中村製作所
小坂研究所

プローブシステムメーカー

レニショー（イギリス）

関連技術

三次元測定機は、以下の関連技術と密接に関わっています。

計測工学
測域センサ
* LIDAR

まとめ

三次元測定機は、製造業における品質管理、設計、開発プロセスにおいて、その重要性がますます高まっています。製品の精度向上、コスト削減、開発期間の短縮など、様々なメリットをもたらすことから、今後も幅広い産業分野での活用が期待されます。

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