三池島

三池島（みいけじま）は、福岡県大牟田市の沖合、有明海上に位置する人工の島です。大牟田市中心部から西におよそ5.5kmの距離にあり、その形状は特徴的な円形をしています。この島は、かつて日本の主要なエネルギー源であった三池炭鉱に関連して、三井鉱山株式会社によって造成されました。直径は約92メートル、面積は6400平方メートルほどで、三池炭鉱の海底に伸びる坑道へ新鮮な空気を送り込むための換気設備を設置する目的で建設され、1970年（昭和45年）に完成しました。現在、三池島は人の定住しない無人島となっています。同種の施設としては、これより早く1951年に建設された初島（同じく大牟田市沖）が存在します。

三池炭鉱が閉山に向かうにつれて、三池島はその役割を終えましたが、思わぬ形で新たな価値を持つようになりました。この人工島は、絶滅の危機に瀕しているベニアジサシや、同じく海鳥であるコアジサシといった鳥類の繁殖地となったのです。特にベニアジサシについては、1994年（平成6年）に初めてこの島での繁殖が確認されました。三池島は、日本国内においてベニアジサシの繁殖が確認されている最も北に位置する場所であり、学術的にも非常に貴重な環境を提供しています。

三池島の所有権は、現在も造成主体である三井鉱山が有しています。三井鉱山は、島の管理を大牟田市に移管するため、市への譲渡を打診している状況です。しかし、大牟田市は財政的に厳しい状況にあることに加え、今後の維持・補修にかかる費用が予測できないことを理由に、現時点ではこの譲渡提案を受け入れていません。このような状況に対し、島の持つ自然環境、特に希少な鳥類の繁殖地としての重要性から、日本野鳥の会などの自然保護団体は、大牟田市に対し、三池島を無償で譲り受けるよう要望を行っています。

過去には、島の存在を広く知ってもらう試みも行われました。例えば、2016年7月には、大牟田の夏の風物詩である港まつりの関連行事として、三池島まで船で向かうクルージング企画が実施されました。この企画は、普段は立ち入ることのできない人工島を間近で見ることができる貴重な機会として、参加者から好評を得ました。三池島は、産業遺産としての側面と、希少な野生生物のサンクチュアリとしての側面を併せ持ち、その将来的な管理や活用方法について、関係者の間で議論が続けられています。

関連事項としては、この島が深く関わっている三井三池炭鉱の歴史や、同じく換気施設の人工島である初島 (大牟田市)|初島_(大牟田市)について知ることも、三池島への理解を深める上で有益でしょう。この小さな人工島は、日本の近代産業の歩みと、その後の環境の変化、そして自然保護の課題を物語る存在と言えます。

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