三沢大火

三沢大火（みさわたいか）

1966年（昭和41年）1月11日、青森県三沢市を襲った大規模な火災です。市の中心部に位置する商店街から発生した火は、当時の悪条件下で急速に広がり、甚大な被害をもたらしました。約450棟の建物が焼失し、828世帯、合計2152人もの人々が家を失うなど甚大な被害を受けましたが、幸いにも、出火時刻が日中であったことなどから、尊い命が失われることはありませんでした。この大火による損害額は、当時の金額で15億6560万5000円に上るとされています。

火災発生時の状況

大火が発生した1966年1月11日は、青森県東部が非常に乾燥した状態にありました。正午時点での八戸市の湿度は38%と低く、さらに午後1時前には最大瞬間風速26メートルにも達する強風が吹き荒れていました。この時期の三沢市としては珍しく、路面に雪はありませんでした。このような気象条件が、後に発生する火災の延焼を助長する要因となりました。

火の手の広がり

午後2時14分頃、三沢市中央町2丁目の賑やかな商店街の一角から火の手が上がりました。出火原因は、ガスコンロに火をつけたまま放置したことと見られています。一帯は木造建築の店舗がひしめき合う密集地であり、火災が比較的頻繁に起こっていたためか、当初はすぐに消し止められるだろうと楽観視する市民も少なくなかったようです。

三沢市消防本部は、火元からわずか550メートルの距離に位置していましたが、通報は14時20分に入り、消防車両が現場に到着して放水を開始したのは14時22分。出火からすでに8分が経過しており、既に火は両隣の建物へと燃え移っていました。午後2時30分頃には通信網が途絶え、ほぼ同時に電力供給と水道も停止しました。瞬間風速22メートルから26メートルという猛烈な西風にあおられ、炎は瞬く間に拡大。火災発生からわずか20分で、延焼は30棟にまで及びました。発生から1時間を待たずして、市民に親しまれていた日活会館や有楽座なども炎に包まれました。三沢中央病院では、入院患者が事前に三沢市民会館へ避難を完了させていましたが、病院自体は15時30分頃に炎上・焼失しました。

延焼を食い止めるため、第一次から第三次にわたる防御線が設けられ、ブルドーザーを用いて建物を強制的に破壊するなどの措置も講じられましたが、午後5時頃には、火の手はついに幸町方面にも広がりました。午後7時頃になってようやく火勢が弱まり始め、鎮火が確認されたのは19時55分。ほぼ火が収まったのは20時30分頃でした。

消火活動と避難

大規模な火災に対し、消火活動には三沢市消防本部のほか、隣接する在日米軍三沢基地消防隊、航空自衛隊三沢基地、海上自衛隊八戸航空基地からも応援部隊が駆けつけ、懸命な作業にあたりました。しかし、この消火活動中に、米軍の消防士2名が重傷、11名が軽傷を負うという犠牲も出ています。

家を失った罹災者たちは、三沢市立岡三沢小学校、上久保小学校、第一中学校柔道場、三沢市民会館、市内の保育所などに開設された避難所で一夜を明かしました。

大火後の復興と教訓

大火の後、全国各地から約1億7000万円に及ぶ義援金や、数万個の救援物資が被災した三沢市へ届けられ、温かい支援が寄せられました。焼失面積は約5万4千平方メートルにも達し、これは1960年代に国内の市街地で発生した大火としては、1962年の長崎県福江大火に次いで2番目の規模にあたります。

この悲劇からちょうど1年後の1967年（昭和42年）1月11日、三沢市は二度と同じような惨事を繰り返さないという誓いを込め、全国で初めてとなる無火災都市宣言を行いました。

主な焼失建物

大火により焼失した主な建物には以下のようなものがありました。

三沢中央病院
三沢信用組合
宝湯
有楽座
日活会館
京栄旅館
野々宮旅館
主婦の店本店

この大火の記憶は三沢市の歴史に深く刻まれ、発生から44年後の2010年1月11日には、青森放送の番組『あの瞬 RABテレビが伝えた青森』でこの三沢大火が取り上げられ、当時の記録が改めて伝えられました。

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