三河鉄道デ100形電車

三河鉄道デ100形電車の歴史と特徴

概要

三河鉄道デ100形電車は、1926年に三河鉄道が通勤用に新製した木造電車です。初めはデ100形として知られていましたが、後に名古屋鉄道に吸収合併されることにより、モ1080形と呼ばれるようになりました。この電車は、当時の通勤を支える重要な役割を果たしていました。

沿革

デ100形の導入は、三河鉄道が猿投と大浜港間を電化した際のことです。車両の全長は約15メートルで、木造の仕様が特徴です。また、オールクロスシートの2扉車として設計されており、その快適さから「夫婦式電車」として宣伝されました。このデ100形では、当初6両（101 - 106）が田中車両で製造され、さらに1927年には2両（107・108）が東洋車輌で製作されました。これらの車両は、製造元により寸法や設計の細部が異なることがありました。

1926年8月には、荷物室を備えた制御車のクハ50形が4両（51 - 54）も東洋車輌で製造されました。後に、クハ50形の一部（53・54）は荷物室を撤去し、クハ60形に改修されています。

1941年に三河鉄道は名古屋鉄道に合併され、デ100形はモ1080形（1081 - 1088）に改称されました。同時に、クハ50形はクニ2150形、クハ60形は初代ク2160形に名を変えました。この改称に伴い、モ1080形はロングシートの3扉車への改造を受け、三河線、蒲郡線、挙母線で運用されるようになりました。

1950年から1951年頃の改称作業では、クニ2150形がク2150形（初代）に改められ、荷物室の仕切りはそのまま残されました。その後、ク2160形（2161・2162）もク2150形（2153・2154）に名を変えることとなります。これらの変更は、車両の整備や運用に影響を与える重要な出来事でした。

1958年にはモ1080形の一部（1087・1088）とク2150形が車体更新される対象となりましたが、残りのモ1080形（1081 - 1086）は1964年に廃車されています。これにより、モ1080形の歴史は幕を下ろすこととなりました。

まとめ

このように三河鉄道デ100形電車は、電化が進む中で通勤需要に応え続け、名古屋鉄道における貴重な車両の一つとして存在していました。そのデザインと運用方法は、その後の鉄道車両に影響を与えたといえるでしょう。三河鉄道の発展と共に歩み続けたデ100形の歴史は、鉄道の発展の一端を語るものです。

参考文献

• - 加藤久爾夫、渡辺肇『私鉄車両めぐり 名古屋鉄道』鉄道ピクトリアル アーカイブズセレクション第30巻、鉄道図書刊行会、2015年。
• - 清水武、田中義人『名古屋鉄道車両史 上巻』アルファベータブックス、2019年。

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