三浦文夫 (福祉学者)

三浦 文夫

日本の社会福祉学者である三浦 文夫（みうら ふみお、1928年9月5日生 - 2015年8月3日没）は、長きにわたり教育・研究機関で要職を歴任し、日本の社会福祉学の発展に多大な貢献をしました。特に社会保障、高齢者福祉、地域福祉といった分野で先駆的な研究を行い、多数の著作を残しています。最終的には日本社会事業大学名誉教授、武蔵野大学名誉教授の称号を得ました。

東京都に生まれた三浦氏は、1952年に東京大学文学部社会学科を卒業し、1954年には同大学院修士課程を修了して社会学の素養を深めました。その後、中部社会事業短期大学で助教授として教鞭を執ることからそのキャリアをスタートさせます。1957年には日本福祉大学へ移り助教授を務め、教育者としての経験を積みました。1965年には社会保障研究所の研究部長に就任し、研究者としての活動の場を広げ、日本の社会保障制度に関する専門知識を深めました。

1981年からは日本社会事業大学の教授として教壇に立ち、後進の育成に力を注ぎました。同大学では1991年から1995年までの期間、学長として大学運営の重責も担いました。1997年に定年退職を迎えた後も、名誉教授として大学との関わりを保ちつつ、武蔵野女子大学（後に武蔵野大学）で特任教授、名誉教授として教育・研究活動を続けました。

学術研究・教育活動と並行して、三浦氏は数多くの公的な委員や団体の役職を務め、社会福祉の実践や政策形成にも深く関与しました。身体障害者福祉審議会の会長として障害者福祉政策の推進に貢献したほか、東京都社会福祉審議会の委員長として地域福祉の発展にも尽力しました。また、全国介護養成施設協会の理事を務めるなど、介護分野の人材育成にも関わっています。学術団体では、日本地域福祉学会の顧問や日本社会福祉学会の名誉会員として、学会活動の活性化と学術交流の促進に貢献しました。

三浦氏の研究成果は多数の著作として発表されており、社会福祉学の広範な領域をカバーしています。単著として、社会福祉経営論、社会福祉政策研究、高齢化社会、社会保障に関する著作があります。共編著としても多くの書籍に携わり、『老人はどこで死ぬか』、『地域活動論』、『高齢化社会と社会保障』、『社会福祉通論』、『社会福祉の現代的課題』、『介護サービスの基礎知識』など、高齢者福祉、地域福祉、社会保障、福祉サービスといったテーマで、他の研究者との共同研究の成果を広く世に問いました。これらの著作は、当時の社会福祉が直面していた課題を浮き彫りにし、その解決に向けた理論的基盤や実践的な視点を提供しました。また、海外の社会福祉に関する重要な文献の翻訳も積極的に行い、リチャード・ティトマスの著作をはじめとする英文献を監訳・共監訳し、日本の社会福祉学界に国際的な知見をもたらしました。その翻訳活動は、日本の社会福祉研究が国際的な動向を理解し、自らの課題に取り組む上で貴重な貢献となりました。三浦氏のこれらの多岐にわたる活動と業績は、日本の社会福祉学の確立と発展において、極めて重要な位置を占めています。

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