三淵嘉子

三淵嘉子の生涯

三淵嘉子（みぶち よしこ）は、1914年にシンガポールで生まれ、1984年に日本初の女性弁護士や判事として歴史に名を刻んだ女性です。彼女は武藤貞雄とノブの長女として、豊かな家族環境で育ちました。嘉子は進歩的な父親の影響を受け、法律への興味を抱くようになります。

教育と法律への道

彼女は東京女子高等師範学校附属高等女学校を卒業後、当時女性に法学の門戸が開かれていた明治大学専門部女子部に入学。1938年に法学部を卒業し、すぐに高等試験司法科試験に合格。その後、1940年に第二東京弁護士会で弁護士登録を行い、同世代の中田正子、久米愛と共に日本初の女性弁護士となりました。

家族との関係

1941年には武藤家の書生であった和田芳夫と結婚。しかし、和田は戦地で病を患い、帰国後に戦病死を遂げます。彼女は長男を出産し、家族の支えを受けながらも、法律の道を一層続けます。その後、1944年には明治女子専門学校の助教授として教壇に立ちました。

判事としての挑戦

戦後、女性が司法の場で果たす役割を制限された時代の中で、嘉子は司法省に裁判官採用願いを出します。その結果、1949年には初めての女性判事補として東京地方裁判所に任命されました。さらに、1952年には名古屋地方裁判所で初の女性判事となり、日本の司法界における女性の地位向上に大きく貢献しました。

嘉子は東京地裁での勤務中に、原爆裁判として知られる重要な裁判にも関与し、その判決では初めて「原爆投下は国際法違反」との見解を示しました。

家庭裁判所長としての功績

1972年、新潟家庭裁判所長として任命され、女性初の家庭裁判所長職に就任。以後も県内の家庭裁判所を率いる姿は、女性の社会進出を象徴するものでした。また、少年事件の審理においても、感情を込めた言葉で少年たちの心に寄り添ったとして、多くの称賛を得ました。このような彼女の態度は、法の裁きだけでなく、人間的な側面をも重視するものでした。

退官後の活動

1979年には、再び弁護士として第二東京弁護士会に登録。さらに、日本婦人法律家協会の会長に就任し、男女平等のための活動を推進しました。教育者としても、明治大学短期大学で法律を教え、次世代の法律家を育成することにも寄与しました。

死去と遺産

1984年に亡くなる672日を迎えた時、三淵嘉子は69歳でした。彼女の功績は、勲二等瑞宝章と従三位を持って称えられました。また、彼女の生涯は、2024年度のNHK連続テレビ小説『虎に翼』にて描かれる予定で、これによりその業績は新たな世代に伝わっていくことになります。彼女の生き方は、女性が法律界において活躍し続ける道を切り開く源となり、多くの後輩たちにとっての手本となりました。

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