三田幸夫

三田幸夫の生涯と業績

三田幸夫（みた ゆきお）は、1900年3月31日に神奈川県横浜市で生まれ、1991年2月11日に亡くなった日本の登山家です。彼は大正から昭和にかけて活動し、その業績から「山のガキ大将」と称されました。大学時代から登山に情熱を注ぎ、彼の人生は登山と密接に結びついていました。

大学時代と初期の遭難事故

慶應義塾大学の経済学部に在籍していた三田は、在学中に山岳部に所属し、槇有恒の指導のもとで活発に活動しました。1923年1月、三田は槇や板倉勝宣とともに立山雄山へスキー登山を計画しますが、松尾峠で遭難するという辛い経験をします。三田は1人で救援を求めるため、立山温泉へ向かう決断をしましたが、その過程で身体的な疲労が限界に達し、幻覚を見る事態に至ります。最終的には、友人の槇が救いに来る前に板倉の死を目撃することになり、心に深い傷を負いました。

実業界への進出と登山の継続

1924年に大学を卒業した後は実業界に身を投じ、岩井産業のシンガポール支店長や万邦産業取締役、三和興業常務などを歴任しました。仕事の関係で海外赴任を経験し、その中での活動が彼の登山活動に正の影響を与えることが多く、後に海外登山のパイオニアとして評価されることになりました。

世界的な登山の業績

1925年に、槇有恒や早川種三と共にカナダのアルバータ山において世界初の登頂を達成しました。彼の登山活動は国内外に広がり、特に1931年にはインド赴任中にクル渓谷を探求し、そこで各国の登山隊がヒマラヤ山脈登山に向けて動いていることを知ります。この動きに対して、日本の登山隊の遅れを憂いた彼は、帰国後に積極的に登山界に呼びかけました。

また、1952年には日本人として初のマナスル遠征隊の隊長を務めるが、頂上目前で登頂を断念する苦渋の決断を強いられました。しかし、その経験は後続の日本人登山家に多大な影響を与え、ヒマラヤ登山の道を開く礎となりました。

登山界への貢献と著作

1968年には日本山岳会の会長として活動し、登山界でのリーダーシップを発揮しました。彼の登山に関する著作も数多く、『わが登高行』や『山なみはるかに』、『山のガキ大将』など、彼の経験や思考を記した本が多くの登山家に影響を与えました。

まとめ

三田幸夫の人生は、登山への情熱と実業界での成功が織り交ぜられたものであり、彼の業績は日本の登山界において重要な位置を占めています。彼の挑戦と経験は、後の世代の登山家たちに勇気を与え、山の魅力を広める原動力となりました。

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