槇有恒

槇有恒について

槇有恒（まき ゆうこう）、または「ありつね」としても知られる彼は、1894年の2月5日に宮城県仙台市で生まれました。1989年に逝去するまでの彼の生涯は、日本の登山界において重要な貢献を残しました。槇は日本山岳会の設立者であり、その2期にわたり会長を務め、日本山岳協会の名誉会員でもあります。彼の最も著名な業績の一つは、ヒマラヤ山脈のマナスルの初登頂に成功したことです。

幼少期と学業

槇の父、槇武は新潟県の士族であり、幕末から維新期にかけて仙台での活動を行っていました。彼は仙台で『奥羽日日新聞』の主幹として名を馳せていました。槇有恒は宮城県の師範学校付属小学校、仙台第二中学校を経て、1911年に慶應義塾大学部予科に入学します。1914年に大学部教授の鹿子木員信の影響を受けて日本山岳会に参加し、その後、同年に慶應義塾山岳会を結成しました。これは槇の登山に対する情熱の始まりでした。

海外留学と登山活動

1918年には鹿子木の薦めでアメリカのコロンビア大学に留学しますが、文化の違いから中退。その後ヨーロッパで2年間過ごし、スイスアルプスの登攀に挑戦しました。1921年にはアイガーの東山稜を初めて登り、この功績を記念して後に登山小屋を寄贈しました。彼はまた、スキー技術を早くから習得し、登山活動に取り入れるなど、登山家としての幅広いスキルを身につけました。

名誉ある業績

1925年にカナダのアルバータ山では世界初登頂を果たし、1926年には秩父宮親王との登山を通じて、登山文化を広める役割を果たしました。第二次世界大戦中は家族とともに長野県に疎開し、戦後は公職追放を受けましたが、国民体育大会で登山部門の発足に寄与しました。

1956年にはヒマラヤのマナスル遠征隊の隊長として、日本隊による登頂を成し遂げました。この成功は日本人に大きな自信を与える出来事となりました。

叙勲と後半生

彼はこの業績により文化功労者とされたり、勲三等旭日中綬章を受章する等、名誉ある賞を受けることになります。その後、立山観光顧問や日本の各山岳会の名誉会員として活動し続けました。

槇有恒の業績や影響は、登山だけでなく日本の文化や地域社会にも及び、彼は仙台市の名誉市民としても認知されています。1989年、彼は94歳でこの世を去りましたが、彼の名前は今もなお登山界で語り継がれています。彼の著作は、登山の魅力を広める重要な作品として高く評価され、多くの登山者に影響を与えました。

もう一度検索