三百六十五歩のマーチ

三百六十五歩のマーチ

「三百六十五歩のマーチ」（さんびゃくろくじゅうごほのマーチ）は、水前寺清子によって1968年11月10日にリリースされたシングルで、サブタイトルに「ワン・ツー・パンチ」が付けられています。この楽曲は、従来の演歌から一歩進んだ歌謡曲として位置づけられ、一歩一歩を大事に生きるというメッセージが込められた行進曲調の楽曲です。ジャケット写真では、マーチングバンドのドラムメジャー姿の水前寺がポーズを決めることによって、これまでのイメージとは異なった印象を受けます。

水前寺はこの曲の提供を受けた際、自身の演歌歌手としてのプライドから英語の「ワン・ツー」というフレーズを含むこの楽曲を最初は拒んでいたといいます。歌詞の作成者である星野哲郎は、彼女にとって新しい挑戦が必要だと捉えており、その考えが楽曲の誕生につながったとのことです。結果的に、この曲は日本の高度経済成長の象徴ともなり、100万枚を超える売り上げを記録しました。

水前寺自身も最初は歌いたくない曲であったと回想しつつ、その後はファンからの手紙を通して歌に対する思いが変わっていったと述べています。「今では誇りです」と語る彼女の言葉には、この曲が彼女に与えた影響の大きさが伺えます。

1969年にはこの歌を基にした映画『コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ 三百六十五歩のマーチ』が公開され、同年の選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも採用されました。また、同年末には日本レコード大賞の大衆賞を受賞しています。

この歌はその後も多くのシーンで取り上げられ、数々のCMやテレビ番組に登場します。1990年にリリースされたSHINE'Sの替え歌「私は課長」を皮切りに、1991年にはフジテレビ系アニメ『丸出だめ夫』の主題歌として使われるなど、時代を超えて親しまれてきました。水前寺による再録音版も多くの人に支持され、2010年代には新たなバージョンも登場しました。

また、2016年には熊本地震からの復興をテーマにしたミュージックビデオが制作され、歌詞が改編されたバージョンも発表されています。更に、特殊詐欺防止のための歌詞改編版も制作されるなど、社会貢献の一環としてもこの曲は活用されています。

2017年には障害者スポーツを支援するプロジェクトにおいても新たなアレンジが紹介され、様々なアーティストが参加する形で音楽が続いています。2022年には水前寺自身がライブパフォーマンスでこの曲を披露するなど、今なお多くの人々に愛されている楽曲です。

このように「三百六十五歩のマーチ」は、ただのヒット曲にとどまらず、人生の応援歌として多くの人に寄り添い続けているのです。

もう一度検索