三神吾朗

三神 吾朗の生涯と業績

三神吾朗（みかみ ごろう、1889年11月6日 - 1958年6月24日）は、日本のプロ野球史における重要な人物である。彼は日本のプロ野球がまだ始まる前の時代に、アメリカのプロ野球チーム「オール・ネイションズ」に参加してプレーした選手であり、様々なポジションで活躍した。特に外野手や遊撃手、投手、一塁手としての能力が評価された。

生い立ち

三神吾朗は山梨県中巨摩郡大鎌田村（現在の甲府市）に生まれた。彼は大名家の出身で、甲府電灯会社を設立した父と、家庭を支えた母の元に、11人兄弟の5番目として孤独な存在感を持って育った。彼の兄である三神八四郎は、名を残すアマチュアテニス選手であり、「三神記念コート」が早稲田大学にある。大学での彼のスポーツへの情熱は、野球部への入部によって一層高まった。

大学時代の野球キャリア

旧制甲府中学校を経て1908年に早稲田大学に進学し、野球部に加入した。はじめは投手として活動するも、練習において他の選手から頭角を現すことができず、打撃投手しか務められなかった。やがて外野手に転向し、急成長を遂げる。1910年には早稲田硬式野球部のアメリカ遠征にも選ばれ、その実力を認められるようになった。

アメリカ留学とオール・ネイションズ

1913年、三神はノックス大学に留学し、野球部で主軸選手として活躍した。彼の将来を感じ取った関係者は、彼の走塁とフィールディングを高く評価し、通称「ジャパン・ミカド」と呼ばれるようになる。この時期に彼はキャプテンとしてチームを牽引し、1914年には独立巡業プロチーム「オール・ネイションズ」のメンバーとなり、さらなる国際経験を積んだ。

三井物産への就職とその後の人生

1916年、彼はイリノイ大学に進学。経済学を学び、その後三井物産に就職する。以降は野球と距離を置き、経済人としての人生を歩むことになった。1958年に68年の生涯を閉じ、青山霊園に埋葬された。

後世の評価と研究

三神は、長らくそのプロ野球キャリアに関して沈黙を守っていたため、彼の事績はあまり知られていなかった。しかし1994年、永田陽一や横田順彌、佐山和夫による研究によって、彼が「ジャップ・ミカド」としてオール・ネイションズでプレーしていたことが明らかになり、その名は再評価されることとなる。研究が進む中で、実際にはこのニックネームは彼以前の選手によるものであった可能性が高いことが示されている。

プロ野球に対する姿勢

三神がなぜ自身のプロ野球体験を語らなかったのか、その理由はまだ不明である。彼は野球から離れた生活を送っていたが、六大学野球を観戦していたことが彼の心の中に野球が残っていたことを示唆している。オール・ネイションズでの経験が彼にとって挫折であったのか、失望感を抱かせたのかは、今なお解明されていない。

三神吾朗の人生と業績は、今後のスポーツ史研究や日本の野球文化における影響をもたらすものであり、これからもその存在は多くの人に語り継がれることだろう。

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