三線道路

三線道路について

三線道路（さんせんどうろ）は、台北市の旧城壁の跡を利用して整備された主要な道路の一つです。この道路は、日本の台湾統治時代に施行された市区計画の一環として設計され、台北城の城壁が取り壊された後、かつての城内を囲む形で整備されました。

歴史的背景

かつて台北には城壁が存在し、その内側には様々な施設や住居がありました。三線道路は、この城壁跡地に位置し、四方を囲むように四本の道路が延びています。具体的には、東西南北にそれぞれ中山南路（東線）、中華路（西線）、愛国西路（南線）、忠孝西路（北線）が相当します。ただし、これらの道路は完全に東西南北を向いているわけではなく、おおよそ20度ほど傾いています。この傾きは、清朝時代に台北城が建設される際に風水を考慮して設計されたとする説が有力です。

建設の経緯

三線道路の建設に関しては、1895年以降に日本が台湾を統治し始めたとき、都市の近代化を目指す計画が進められました。城壁の撤去作業は1900年にスタートし、三線道路の整備は1910年に開始され、最終的に1913年に完成しました。なお、資料によって完成年にばらつきがあり、1909年を唱えるものや1913年とするものが存在しています。

その際、西門が撤去されましたが、他の門（北門、小南門、南門、東門）はランドマークとして保たれることが決定されました。これらは児玉源太郎や後藤新平が指示したもので、地域の歴史的価値を重視した結果です。

道路の設計

三線道路は、台湾総督府の技師である尾辻国吉による設計であり、ドイツのライプツィヒの道路デザインにインスパイアを受けた形となっています。中央に車道を設け、その両側に歩道を設け、街路樹で分ける構造が特徴です。さらに、民政長官であった後藤新平の指示も影響を与え、「パリのシャンゼリーゼ通りのように」とのリクエストがあったとされており、結果として「公園道路」としての性格も備えることになりました。

当時の道幅は狭い部分で約45.5メートル、広い部分では81.8メートルとされ、規模感のある道路として築かれました。かつては城壁撤去後に公園の構想もありましたが、最終的には三線道路としての形が決定しました。

現在の三線道路

日本の統治が終結した後も、三線道路の形状は変わらず継承されています。一方で、中華路に関しては歴史的経緯があり、中国本土から逃れてきた国民党兵士たちが側道にバラックを建設したため、スラムクリアランスが行われ、後に中華商場が建設されました。その後の台鉄縦貫線の地下化や台北捷運板南線の開通に伴い、1992年には中華商場が取り壊され、道路が再整備されました。

このように、三線道路は歴史の変遷を経て、現在では台北市の重要な交通網として、また観光や歴史的背景の訪問地としても注目されています。

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