三菱ふそう・エアロキング

エアロキング（Aero King）

エアロキングは、三菱自動車工業が製造した2階建てバスであり、1983年の東京モーターショーで初めて姿を現し、翌1984年から市場に提供されました。このモデルの開発には中央観光バスが関与し、特に第3軸の構造に対する技術的な指導が行われました。中央観光バスは1991年にエアロキングを「ジパング・ルグラン」という名で導入し、その後も追加で数台を購入しています。

エアロキングは特定の需要に応える形で生産が続けられましたが、全体的な需要の少なさから根本的な改良は行われず、エンジンの排ガス規制対応以外では変更はあまり見られませんでした。2階建てバスは導入する事業者によって利用目的が異なり、利用者数の多さや観光的な要素によって仕様が変わっていました。1985年の発売当初は、眺望が良い観光バスとしての需要が強かったものの、道路運送車両法によって高さが3.8m以内に制約されたため、2階部分の居住性に課題がありました。このため、1980年代後半には観光バスとしての需要は低下していきました。

1990年代に入ると、規制緩和により夜行高速バスとしての利用が増加しました。エアロキングは定員が多く取れるため、長距離路線バスに特化したモデルへのニーズが高まりました。最終モデルの2008年では、この特化が一層進みました。エアロキングの定員は事業者によって異なりますが、例えば独立3列シートでは36～38人、通常の2+2列では66人を収容可能でした。特に、JRバスは高速路線用に多くの台数を導入しました。

シリーズの変遷

エアロキングの最初の型式はP-MU515TAで、1984年に発売されました。このモデルはエアロクィーンKと同じ新呉羽製が使用され、エンジンにはエアロクィーンWと同じ8DC9ターボが搭載されていました。ただし、1986年と1987年の販売実績はありませんでした。

次の世代であるU-MU525TA改は1990年に排出ガス規制に対応して改良が加えられ、形状が変更されましたが、この型式も1995年には販売実績が見られませんでした。KC-MU612TAは1995年にさらに改良され、エンジンが変更されましたが、公式な販売実績は同年初期にはありませんでした。

2000年に登場したMU612TXは、試作車扱いとして登録され、交通バリアフリー法にも対応する車両が加わりました。しかし、2005年には新型エンジンの搭載が不可能となり、製造が一時中止されます。その後、2007年度に新長期規制に適応したBKG-MU66JSが型式認定を受け、2008年に販売が再開されました。このモデルは都市間高速路線に特化されています。

エアロキングの生産は2010年に終了し、これに伴い日本国内での新車購入可能な2階建てバスは長い間存在しなくなることとなりました。生産終了後は、バスを改造してオープントップバスとして運用する事例も見られるようになりました。

参考事項

エアロキングの導入によって、日本のバス市場は大きく変化し、特に観光と輸送の両方の役割を果たすバスとしての進化を遂げました。また、その構造やデザインは多くの事業者に影響を与え、業界全体に新しいスタンダードを確立することになりました。

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