三菱サイダー

三菱サイダー

三菱サイダー（みつびしサイダー）は、熊本県熊本市北区に本社を置く弘乳舎によってかつて製造・販売されていた炭酸飲料のサイダーです。このサイダーは、熊本を代表する「地サイダー」の一つとして知られていました。

概要と歴史

商品名に「三菱」という商標を冠し、三菱グループでおなじみのスリーダイヤのロゴマークを使用していましたが、日本の巨大企業グループである三菱グループや、その源流である旧・三菱財閥とは全く関係がない独立した商品でした。

その歴史は古く、大正8年（1919年）に前身である松田工業（現在のマツダトータルソリューションズ株式会社）によって商標登録されました。以来、長きにわたり主に九州地方において飲料水のブランドとして親しまれてきました。昭和42年（1967年）からは、弘乳舎に製造および販売が委託されることになりました。

三菱サイダーは、三菱鉛筆と同様に、三菱グループ以外でありながらスリーダイヤの商標を使用する権利を有していた珍しい例でした。この点について、弘乳舎の公式ウェブサイトなどでは、「三菱の商標とスリーダイヤモンドのロゴマークは、大正8年に商標登録された歴史ある商品であり、大企業である三菱グループとは一切関係ありません」といった注意喚起が明記されていました。

販売終了の経緯

このように長い歴史を持つ三菱サイダーでしたが、転換期を迎えます。平成26年（2014年）には、商標権を保有していたマツダトータルソリューションズが、その権利を三菱グループの中核企業である三菱商事に譲渡しました。これに伴い、弘乳舎での製造・販売は平成29年（2017年）5月31日をもって終了し、市場から姿を消すこととなりました。

主な販売地域

三菱サイダーは主に以下の地域で販売されていました。

九州地方:
熊本県、鹿児島県、宮崎県の一部が主な販売地域でした。
北部九州地方の福岡県、佐賀県、大分県、さらには山口県の一部でも流通していました。
首都圏（関東地方）:
東京都中央区銀座にある熊本県の公式アンテナショップ「銀座熊本館」で取り扱われていました。
非常に稀なケースとして、千葉駅で行われる催事などで販売されることもありました。
近畿地方:
主に京阪神エリアのスーパーマーケットであるスーパー玉出やサンディなどで、特売品として販売された実績があります。
その他:
ごく一部の限られた量販店、例えばドン・キホーテなどでも取り扱われていた時期がありました。

三菱サイダーは、そのユニークな商標の背景と、地域に根差した歴史から、多くの人々に記憶されているサイダーです。現在では新規の入手は困難ですが、かつて九州を中心に親しまれた地サイダーとして語り継がれています。

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