三菱・トライトン

三菱トライトン：世界を舞台に進化を続けるピックアップトラック

三菱自動車工業が製造・販売するピックアップトラック、トライトンは、グローバル市場をターゲットとした戦略車種として知られています。タイを中心に生産され、日本を含む世界各国（北米を除く）で販売されています。日本市場においては、2006年から2011年にかけて一度販売を終了しましたが、2024年2月、3代目モデルのフルモデルチェンジと同時に12年ぶりに復活を果たしました。

初代トライトン（KB9T型、2005年～2014年）：本格クロカン車の系譜

初代トライトンは、三菱独自のラダーフレームシャーシと、シングルキャブ、クラブキャブ、ダブルキャブの3種類のボディタイプをラインナップ。フォルテをルーツとする三菱製ピックアップトラックであり、タイではストラーダの後継車種として誕生しました。エンジンは、ガソリン仕様の3.5L V型6気筒SOHCと、ディーゼル仕様の2.5L直列4気筒DOHCおよび3.2L直列4気筒DOHCが用意され、日本市場では3.5L V型6気筒ガソリンエンジン搭載のダブルキャブ、4速ATモデルのみが販売されました。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式独立懸架、リアはリーフスプリング式（一部グレードは5リンク式コイルスプリング）を採用。4WDシステムには、パジェロ譲りのスーパーセレクト4WDを採用し、悪路走破性と舗装路での走行性能を高いレベルで両立していました。さらに、一部グレードにはM-ASTC（アクティブスタビリティ＆トラクションコントロール）も搭載され、高い安全性を確保していました。

日本市場では、3.5Lガソリンエンジン、4速AT、4ドアのダブルキャブという限定的な仕様と、ディーゼルエンジンの設定がないこと、そして当時の三菱自動車を取り巻く不祥事の影響もあり、販売台数は低迷し、2011年に販売を終了しました。

2代目トライトン（2014年～2023年）：快適性と走破性の融合

2014年には、9年ぶりのフルモデルチェンジで2代目トライトンが登場しました。初代モデルの優れた走行性能を継承しつつ、乗用車並みの快適性を追求した点が大きな特徴です。エンジンは2.5Lディーゼルターボ、2.4Lガソリン、2.4Lクリーンディーゼルが用意され、日本市場への導入は見送られました。

2018年にはマイナーチェンジを行い、三菱自動車の新しいデザインアイデンティティである「ダイナミックシールド」を採用したフロントフェイスが特徴です。4WDシステムは「スーパーセレクト4WD-II」と「イージーセレクト4WD」の2種類が用意され、悪路走破性を向上させるオフロードモードも搭載されました。安全性能も強化され、衝突被害軽減ブレーキ（FCM）や後側方車両検知警報システム（BSW/LCA）などの先進安全機能が採用されました。

3代目トライトン（2023年～）：更なる進化と日本市場への復帰

2023年、9年ぶりのフルモデルチェンジで登場した3代目トライトンは、シングルキャブ、クラブキャブ、ダブルキャブの3種類のボディタイプが用意されています。ラダーフレームは高張力鋼の採用率を高めることで剛性と軽量化を両立。エンジンは2.4Lクリーンディーゼルエンジン（4N16型）を搭載し、出力別に3種類の仕様が設定されました。トランスミッションは6速ATと6速MTが用意され、6速MTはシフトレバーをワイヤー式にすることで振動を低減しています。

4WDシステムは、「スーパーセレクト4WD-II」と「イージーセレクト4WD」の2種類が用意され、「スーパーセレクト4WD-II」搭載車には7つのドライブモードが設定されています。また、旋回性を高めるアクティブヨーコントロール（AYC）も採用されました。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがリーフスプリング式ですが、軽量化と強度向上を図られています。

エクステリアは、「ダイナミックシールド」を踏襲しつつ、フロントグリルやヘッドライトのデザインが刷新されました。インテリアも大幅に改良され、質感と機能性が向上しています。安全装備も充実し、三菱自動車セーフティセンシング（MMSS）に加え、レーダークルーズコントロールシステム（ACC）が追加されました。

日本市場では、約12年ぶりに2024年2月より販売が再開され、「GLS」と上級グレードの「GSR」の2グレードが設定されています。GSRは、かつてランサーエボリューションにも採用されたスポーツグレード名で、8年ぶりの復活となります。

まとめ

トライトンは、初代から3代目へと進化を続け、高い走破性、快適性、そして安全性を兼ね備えたピックアップトラックです。世界各国で高い評価を受けているトライトンは、今後もグローバル市場において三菱自動車を代表するモデルとして活躍していくことでしょう。

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