衝突被害軽減ブレーキ

衝突被害軽減ブレーキ（AEB）について

衝突被害軽減ブレーキ（AEB）とは、自動車が前方の障害物を認識し、衝突の危険が迫った際に運転者へ警告を行ったり、自動的にブレーキをかけたりするシステムです。この技術は主にレーダーやカメラを用いており、日本国内で販売されている車両に搭載されたものについて説明します。

概要

衝突被害軽減ブレーキは、アクティブセーフティ（予防安全）とパッシブセーフティ（衝突安全）の中間に位置し、1991年から先進的な安全機能として研究されてきました。その成果として、2003年にトヨタ・ハリアーが市販車として初めて搭載したことで実用化が始まりました。ホンダ・インスパイアでは、初めて完全自動ブレーキ機能が実装されたことでも注目されました。

このシステムは、車両が常に前方を監視し、障害物との接近を察知すると、音声による警告を発し、さらに衝突が不足不可避と判断されれば、自動でブレーキを作動させることで衝撃の軽減を図ります。また、警告発信と同時にブレーキ力を強化したり、シートベルトを巻き上げるなどの動作を含むこともあります。これにより、より安全な運転環境を提供することを目的としています。

認識技術

衝突被害軽減ブレーキは、通常ミリ波レーダーを使用して物体の探知を行いますが、赤外線探知も行うことがあります。ただし、赤外線は太陽光の影響を受けやすく、機能が制限される場合がありますので、その特性を理解しておくことが重要です。また、雨天時の雨粒によって誤認識が生じるリスクもあるため、ワイパー使用中は機能が停止することがある点にも注意が必要です。

最近では、デジタルカメラがレーダーに代わって利用されることも増えており、カメラは詳細情報の提供が可能ですが、夜間や悪天候時の性能が劣るケースがあります。このため、車両によっては両方の技術を統合して、より強力な安全機能を実現しています。

使用上の注意

衝突被害軽減ブレーキは運転支援システムであり、ドライバーの代替を目的としているわけではありません。したがって、事故が発生した際には運転者が責任を負うことが明確にされており、過信せずに運転することが重要です。各製造業者では、その旨を販売時に説明する義務があります。

自動停止機能の導入

日本において初期の衝突被害軽減ブレーキは衝突被害の軽減に留まり、事前の自動停止機能は規制されていました。しかし、ボルボの試みを契機に規制が緩和され、2009年にいくつかのモデルで自動停止機能が初めて実現されました。これに伴い、衝突被害軽減ブレーキの搭載率は急激に向上し、特にSUBARUの「アイサイト」は広く認知される技術となりました。

その後、他のメーカーも追随し、2014年には衝突被害軽減ブレーキが世界各国の自動車安全評価プログラムに組み込まれることで、技術の普及が進みました。現在、ほぼ全ての乗用車において自動停止機能が標準装備される方向に向かっています。

事故とトラブル

最近の事例として、衝突被害軽減ブレーキが誤作動を起こしたケースがあり、特に試乗会での不具合や、特定の条件下での誤認識による事故も報告されています。技術の進歩に伴い、より安全な運転環境の提供を目指しますが、常に最新の情報を把握し、正しい運転が求められています。

結論

衝突被害軽減ブレーキは、現代の自動車において重要な安全機能です。事故のリスクを低減し、多くの命を救うことが期待されていますが、依存せずに注意深い運転を心掛けることが求められます。

もう一度検索