三菱・トレディア

三菱トレディア：ミラージュとギャランの狭間を埋めたセダン

三菱トレディアは、1982年から1988年にかけて三菱自動車が製造・販売したセダンタイプの乗用車です。同社のミラージュをベースに開発され、上位車種であるギャランΣ／エテルナΣとの価格帯を埋める役割を担うモデルとして登場しました。そのスタイリッシュなデザインと、実用的な機能性を兼ね備えたモデルとして、当時多くのユーザーから注目を集めました。

ミラージュをベースとした開発

トレディアは、プラットフォームをはじめとする基本設計をミラージュと共有していました。これにより、開発コストを抑えながら、高い信頼性と走行性能を実現することに成功しています。また、トレディアは初代シャリオのベース車両としても活用されるなど、三菱自動車の戦略において重要な役割を果たしました。販売チャネルは三菱のカープラザ店でした。

姉妹車コルディアとの関係

トレディアには、3ドアファストバッククーペであるコルディアという姉妹車が存在しました。両車は多くのコンポーネンツを共有しており、設計面でのコスト削減に貢献しただけでなく、ユーザーに多様な選択肢を提供することに繋がりました。

モデルライフと変遷

トレディアは1982年2月にコルディアの4ドアセダンとして発売されました。その後、1983年7月には、1800ccのG62B型ECIターボエンジンを搭載したターボモデルが登場。「エレクトロジェットターボ」の愛称で親しまれ、走りの楽しさを求めるユーザー層にアピールしました。同年、1600スーパーサルーン・エクストラも追加されています。

1984年10月にはマイナーチェンジを行い、フロントグリルやテールランプ、ステアリングホイール、シート、内装などを変更。1800ccと1600ccのエンジンはエレクトロ・キャブレターに変更され、パワーアップを達成しました。さらに、1800ccモデルにはパートタイム4WDモデルが追加され、悪路走破性も向上しました。一方、1400ccモデルは廃止されました。

1985年10月には一部変更を行い、1800 4WD GXを追加。その後も改良を続けながら販売を継続しましたが、1987年12月にはコルディアと共に生産を終了。その後は在庫販売のみとなりました。

1988年1月には、3代目ミラージュセダンに統合される形で、国内での販売が終了。その後も海外市場で販売が続けられましたが、1990年には全ての市場での販売を終了。トレディアの名称は、一代限りで歴史に幕を閉じました。

車名に込められた意味

トレディアという車名は、イタリア語で「3つ」を意味する「TRE」と、ダイヤモンドを意味する「DIA」を組み合わせた造語です。これは、三菱のシンボルである3つの菱形を意味しており、ブランドアイデンティティを巧みに表現しています。

後継車と類似車種

トレディアの後継車種としては、1996年に発売されたカリスマが挙げられます。カリスマもカープラザ店で販売され、ギャランとランサー/ミラージュの中間車種という位置づけでした。また、トレディアから派生した車種として、シャリオがあります。

まとめ

トレディアは、三菱自動車の歴史において重要な役割を担ったモデルと言えるでしょう。ミラージュをベースとした開発、姉妹車のコルディアとの連携、そして時代のニーズを捉えた改良と進化は、同社の技術力と市場戦略を象徴しています。その歴史は短かったものの、トレディアは、三菱自動車のセダン史に確かな足跡を残しました。その存在は、現代においても多くの自動車ファンに語り継がれています。

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