三菱仲8号館

三菱仲8号館は、かつて東京都千代田区丸の内に存在した建築物で、その歴史は20世紀初頭にまで遡ります。元々は三菱合資会社が所有していた土地に、第11号館に続く形で第12号館として建設されました。

建設と初期

1907年7月20日に建設が開始され、1910年8月5日に竣工しました。当初の名称は三菱第12号館でしたが、1918年3月に三菱仲8号館と改称されました。同年4月には別館の建設も始まり、6月に完成。この別館は、同年8月1日に開設された丸ノ内仲通り郵便局の局舎として使用されました。

災害と復旧

1923年4月4日には、扶桑海上火災保険の貸室から出火し、2階以上が焼失するという被害に遭いました。さらに、同年発生した関東大震災によっても被災しましたが、同年12月には復旧工事が完了し、その姿を取り戻しました。

別館の再建

1925年9月には既存の別館が取り壊され、その跡地に新たな別館が建設されました。この新別館は1926年3月8日に完成し、より機能的な空間として生まれ変わりました。

戦後の変遷

第二次世界大戦後、1945年12月31日からは連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）に接収され、「エコノミック・リサーチ・ビル」として使用されました。接収は1949年7月に解除され、三菱地所会社に返還されました。その後、外国商社への貸事務所として利用されることになり、通産省が賃借・管轄し、1952年1月までその用途で使用されました。

解体とその後

その後、三菱地所はより大規模な貸事務所建築への建て替えを計画し、1956年に三菱仲8号館とその別館は取り壊されました。その跡地には、新東京ビルヂングの第一期部分が建設され、新たな丸の内のランドマークとして生まれ変わりました。

建築の特徴

設計は保岡勝也、本野精吾、内田祥三が担当し、建築顧問には曽禰達蔵が就任しました。建物は、玄関などを共有しない棟割長屋のような独特な平面計画が採用されていました。これにより、各テナントが独立性を保ちつつ、一つの建物内で活動することが可能でした。

参考資料

• - 『建築雑誌』 第二十五輯第二百九十五號（建築學會、明治44年7月25日）
• - 巻末附図 三菱合資会社第十二号第十三号両館設計説明
• - 三菱地所株式会社社史編纂室編 『丸の内百年のあゆみ-三菱地所社史』（三菱地所株式会社、平成5年）

この建物は、丸の内という日本のビジネスの中心地で、その歴史の一端を担っていました。建設から解体まで、数々の歴史的な出来事を経て、その役割を終えました。

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