曽禰達蔵

曽禰達蔵の生涯と彼の業績

曽禰達蔵（そね たつぞう、1853年1月3日 - 1937年12月6日）は、日本の建築家として近代建築史に名を刻んだ人物です。彼は、同郷の辰野金吾と共にジョサイア・コンドルに学び、後に多くの重要な建物の設計に関わることになります。

初期の経歴

曽禰達蔵は、1852年に肥前国唐津藩士の家に生まれました。彼は1873年に工部省工学寮工学校に入学し、1879年には同校の造家学科を卒業しました。卒業後、彼は工部省に入り、1881年には助教授として活動を始めました。また、1886年からは海軍に転職し、呉鎮守府の建築委員として勤務しました。

三菱社での業績

1890年、彼は恩師コンドルの紹介により三菱社に入社し、1892年には三菱一・二号館の建設に着手。このプロジェクトは丸の内において煉瓦造のオフィス街を形成する重要な施工となりました。1894年と1895年にはこの二つのビルが完成し、東京の都市景観に新たな時代をもたらしました。その後、彼は1906年に三菱を定年退社し、独立して建築事務所を開設しました。

設計事務所の設立と代表作

1908年には後輩の中條精一郎と共に「曽禰中條建築事務所」を設立し、様々な公共建築物の設計を手掛けました。彼が担当した代表作には、慶応義塾図書館や鹿児島県庁舎本館、明治屋京橋ビルなどがあります。これらの建物は、日本における近代的な建築様式の発展に寄与しました。

晩年と影響

曽禰達蔵は日本造家学会の創立に関与し、会長としても活動しました。その生涯を通じて、多くの建築家に影響を与えた存在でもあります。1936年に共同経営者の中條が逝去した後も、彼は自らの事務所を運営し続けましたが、1937年に77歳で亡くなりました。彼の墓所は谷中霊園にあります。

家族と系譜

曽禰は高橋是清の義妹を妻に持ち、また後妻には久保田政周の実姉がいます。彼の子どもたちもそれぞれ異なる道で活躍し、長女は貴族院議員の妻、長男は物理学博士として開成高校校長に就任するなど、彼の家族も様々な分野での功績を残しました。特に三男の曾禰益は外交官として活動し、アジア・アフリカ会議に出席するなど国際的な舞台でも活躍しています。

まとめ

曽禰達蔵は、日本の近代建築の父と言える存在であり、彼の設計した建物は今なお多くの人々に利用され、景観に彩りを与えています。彼の業績は、日本の建築史において重要な位置を占め、彼が学んだ西洋建築の知識を基に、日本独自の建築文化を築くことに貢献しました。

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