新東京ビルヂング

新東京ビルヂングについて

新東京ビルヂングは、東京都千代田区丸の内三丁目に位置するオフィスビルです。この建物は、日本の高度経済成長期における建設事情と、その後の大規模なリニューアルを経て、現在の姿に至っています。

歴史的背景

昭和30年代前半、日興証券（現在のSMBC日興証券）は、経済成長に伴い業績を拡大していました。その結果、事務所スペースの拡大を三菱地所へ強く要望しました。これに応えるため、三菱地所は、当時存在していた複数の古い建物の建て替えを決定しました。具体的には、1896年竣工の三菱東7号館、1912年竣工の三菱仲6号館、1910年竣工の三菱仲8号館、そして1914年竣工の三菱21号館が対象となりました。これらの建物のうち、南東側に位置する三菱21号館は、テナント移転の都合から第2期計画として建設されることになりました。

1961年8月、まず東7号館、仲6号館、仲8号館の解体が始まりました。しかし、当時の日本では輸入増加による国際収支の悪化が問題となり、政府は「建設投資調整協議会」を設置し、不要不急の建設投資を抑制する方針を打ち出しました。この状況下で、三菱地所は、本建替え案が駐車場設置や丸の内仲通りの拡幅による交通対策、地下への東京電力変電所設置など、公益に資するものであると主張し、建設省との協議を重ねました。その結果、三菱21号館部分の建設を延期することで、工事続行の許可を得ることができました。

1961年11月15日には地鎮祭が執り行われ、大成建設の施工により、東側を上にしたL字型の建物が建設されました。1963年6月24日、建物は「新東京ビルヂング」と命名され竣工しました。その後の1962年秋には輸出が回復し、建設投資抑制政策が解除されたため、1963年9月からは三菱21号館の解体に着手、1965年4月28日に全面完成しました。同年5月には、低層階に商店街もオープンしました。建物内には、矢橋六郎氏によるモザイク画「彩雲流れ」が飾られています。

大規模リニューアル

2020年代に入り、三菱地所は丸の内エリアのまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と位置づけ、新東京ビルヂングもその対象となりました。2022年8月から大規模なリニューアルが開始され、2024年7月頃には、1階の北西角地にある約1,000㎡の店舗区画、そして3階と5階のリニューアル工事が完了しました。リニューアルされたフロアには、約30点のアート作品が展示され、オフィスワーカーだけでなく来街者も楽しめる空間となりました。

さらに、2階以上のエレベーターホールにはラウンジスペースが設けられ、各階ごとに異なるコンセプトや過ごし方を提案するフロアデザインに生まれ変わりました。環境への配慮も重視され、什器にはヴィーガンレザーが、壁面タイルにはリサイクル素材が使用されました。また、昭和30年代のモダニズム建築の特徴である横連窓のデザインを維持しつつ、窓ガラスをLow-E複層ガラスに全面更新することで、熱負荷を低減しています。

全体のリニューアル工事は2025年度に完了する予定です。

テナント

竣工当初の予定通り、日興証券本店が入居しました。また、解体された旧建物のテナントも、規模を拡大して再び入居しました。2016年現在、SMBC日興証券本社のほか、吉野石膏本社などがテナントとして入居しています。また、地下には東京駅（京葉線）の出入口があります。

参考情報

• - 参考文献: [三菱地所]]『丸の内百年の歩み 三菱地所社史下巻』1993年3月6日、110-112頁。
• - 外部リンク: [新東京ビルヂング（三菱地所オフィス情報）

新東京ビルヂングは、歴史と現代的な価値観が融合した、丸の内エリアを代表するオフィスビルの一つと言えるでしょう。

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