三遊亭丈助

三遊亭丈助（さんゆうてい じょうすけ）は、落語協会に所属する落語家です。本名を浅野成司といい、1962年1月15日に秋田県男鹿市で生まれました。

彼の経歴は落語家としては異色と言えます。地元秋田の高校を卒業した後、東京のデザイナー学院でアニメーションを専攻。その後はテレビ局で大道具の仕事に携わったり、ダイビングインストラクターとして活動したり、印刷関連会社に勤務したりと、多岐にわたる職業を経験しました。こうした経験を積んだ後の2004年、42歳という年齢で落語の世界に飛び込むことを決意。三遊亭圓丈に入門しました。

入門からわずか1年足らずの2005年4月には前座に昇進し、「たん丈」という前座名を名乗ります。その後、約3年半の修行を経て、2008年11月には二ツ目に昇進しました。二ツ目としてさらに芸を磨き、入門から16年目にあたる2020年3月下席、満を持して真打への昇進を果たしました。この真打昇進を機に、それまでの「たん丈」から本名の姓を読み替えた「丈助」へと改名。春風亭一左、三遊亭志う歌、六代目玉屋柳勢、三遊亭歌扇といった同期と共に、落語家としての新たな一歩を踏み出しました。

高座では、自身の出身地である秋田県の伝統行事、なまはげを題材にしたオリジナルの小噺を得意とするなど、その人柄や経験が滲み出るような個性的な噺を見せます。真打昇進後の出囃子は「千本桜」を使用しており、それ以前の二ツ目時代にはロックバンド、ディープ・パープルの名曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を粋な選曲としていました。

また、三遊亭丈助は、落語協会における入門年齢制限規約が制定されるきっかけを作った人物としても知られています。師匠である圓丈が、当時前座だった丈助の年齢や覚えのスピードに触れ、「弟子としては可愛いが、大変な苦労を強いられる。このような思いを他の師匠にさせないためにも、入門に年齢制限を設けてはどうか」と理事会で提案したことが、規約制定につながったとされています。なお、丈助は現在の落語協会会長を務める柳亭市馬と同学年という一面も持ち合わせています。師匠の圓丈からは、真打昇進に際し「どうせなら還暦で真打になれば面白かったのに、なんて中途半端なんだ！」と、ユーモアを交えつつも期待の表れともとれる言葉をかけられたといいます。

彼の持ち物にも個性が光ります。特に愛用している手ぬぐいは、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』に登場するキャラクター、ブローノ・ブチャラティのスーツに見られる特徴的なドット柄をモチーフにデザインされており、落語ファンのみならず漫画ファンの間でも話題となっています。

多才な経験を活かし、独自の感性で落語の世界を歩む三遊亭丈助は、その個性的な高座と人柄で、多くのファンを魅了しています。

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