三遊亭歌彦

三遊亭歌彦 氏について

三遊亭歌彦（さんゆうてい うたひこ）は、1994年4月19日に高知県東洋町で生まれた落語家である。落語協会に所属し、四代目三遊亭歌奴門下の二ツ目として活躍している。本名は原田仁樹（はらだ よしき）。

経歴

太平洋に面した高知県東洋町で育った歌彦は、県立土佐塾高等学校を卒業後、関西学院大学文学部で学んだ。大学を卒業後、2017年3月に落語の世界へと飛び込み、四代目三遊亭歌奴に弟子入りした。入門から間もない同年9月30日、お江戸両国亭の寄席の舞台で初高座を踏み、「子ほめ」を披露した。翌2018年1月21日には前座に昇進し、師匠の一字を取った「歌つを（うたつを）」という前座名で修業を積んだ。約3年間の前座期間を経て、2021年3月1日、林家やま彦、林家きよ彦、そして同期の春風亭与いちと共に、二ツ目へと昇進した。この昇進に合わせて、前座名「歌つを」を改め、師匠・歌奴が真打昇進前に名乗っていた名跡である「三遊亭歌彦」を襲名した。これは、師匠からの期待を示すとともに、その芸統を受け継ぐ者としての覚悟を示すものと言えるだろう。二ツ目となり、高座での持ち時間が増えるなど、落語家としてより深く、そして幅広く表現力を磨く日々を送っている。

人物と活動

三遊亭歌彦は、若手落語家として精力的に活動している。特に、二ツ目昇進を共にした同期の春風亭与いちとは親交が深く、定期的に二人会を開催するなど、互いの芸を高め合うための活動を続けている。また、落語協会に所属する多くの二ツ目が参加する自主的な勉強会「チャノマ」のメンバーとしても活動しており、新しいネタに挑戦したり、普段あまり高座にかけない噺を試したりと、研鑽を積む場に参加している。故郷である高知県東洋町への愛着も深く、自身の高座では故郷にちなんだ民謡である「しばてん音頭」を出囃子として使用している。この出囃子は、彼の地元愛と個性を示すものとなっている。

メディア出演

落語家としての寄席での活動に加え、メディアにも登場したことがある。2022年に公開された、林家しん平監督による映画『二つ目物語』に出演した。この映画は、二ツ目として奮闘する若手落語家たちの日常を描いた作品であり、歌彦は劇中において居酒屋の客として登場し、落語以外の分野でも経験を積んだ。

今後の展望

三遊亭歌彦は、確かな基礎と、故郷を愛する温かい心を持つ若手落語家である。古典落語の伝統を大切にしつつ、現代に生きる観客に響くような表現を探求し、新作落語への取り組みも見せている。同期との連携や勉強会への積極的な参加を通して、芸の幅を広げている彼の、真打昇進に向けた今後の活躍に期待が寄せられている。高座で「しばてん音頭」に乗って登場する彼の、温かみのある高知弁が混じるかもしれない語り口は、多くの観客を魅了するだろう。

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