三隈 (重巡洋艦)

三隈（みくま）について

三隈は日本海軍の最上型重巡洋艦の2番艦であり、その名は大分県の日田盆地を流れる三隈川に由来しています。1935年に竣工し、太平洋戦争中は重要な海戦に参加しました。特に1942年のミッドウェー海戦では、攻撃を受け沈没し、日本海軍の重巡洋艦として初めての喪失となりました。

建造から太平洋戦争の開戦まで

三隈は1931年12月24日に三菱造船長崎造船所で起工されました。計画排水量は8,636トンで、水線全長は190.5メートル、武装には15.5cm三連装砲塔を5基備えていました。建造にあたっては、当時の日本海軍では珍しい電気溶接技術が多用されました。1934年には進水し、翌年の完成を目指して艤装工事が進められましたが、独自の設計に起因する友鶴事件の影響で工事は一時中断されました。

その後の補強工事を経て、1935年8月29日に竣工し、第4艦隊に編入されました。竣工直後には第2予備艦に指定されるなど、艦歴の初期は波乱の幕開けでした。

太平洋戦争緒戦での活躍

三隈は南遣艦隊の一員として、マレー作戦や蘭印作戦での艦隊行動に参加しました。1942年3月、バタビア沖での海戦では、米艦ヒューストンと豪軽巡パースを共同で撃沈するなど、その戦果が評価されました。このように、三隈は開戦直後から数々の戦闘で重要な役割を果たしました。

ミッドウェー海戦における運命

1942年4月から始まったミッドウェー島攻略作戦では、三隈は第七戦隊に配置され、海軍司令部の指揮の下、応援部隊として行動しました。ミッドウェー海戦の際、支援隊は各艦が連携し、砲撃命令を受けましたが、艦隊の位置関係から混乱が生じ、命令通りに進行できませんでした。

6月5日、ミッドウェー島を砲撃する予定でしたが、他の艦船との位置関係の誤算から、最終的に攻撃は中止され、三隈も主力部隊との合流を余儀なくされ、命令を受け反転行動をとりました。

午後11時半には米潜水艦タンバーによる接触の後、混乱が生じ、最上と三隈の間で避航中に衝突が発生しました。この衝突により三隈は深刻な損傷を受け、最上もまた艦首を圧壊しました。三隈の艦長は最上の護衛にあたり、撤退行動をとりましたが続く空襲を受け、艦は劣勢の中で攻撃を受けました。

三隈の最後

6月7日、三隈は激しい空襲を受け、艦内で火災が発生し、最終的に致命的な損傷を負いました。米軍の集中攻撃により三隈は動けなくなり、艦橋では犠牲者が出ました。艦の指揮権は副長に引き継がれましたが、余りにも多くの被害を受け、脱出が求められました。

最後の指令を受けて約240名の乗員が荒潮によって救助されたものの、艦は完全に放棄されました。海上での奮闘の末、三隈の姿は夕日とともに沈んでいきました。

それからしばらく後、アメリカの兵士たちは三隈の沈没を確認することはできなかったものの、艦の最期の光景を悼んでメダル・オブ・オナーを授与される隊員もいたと伝えられています。

三隈は戦後、軍艦籍から除籍されることとなり、その艦名は後に海上自衛隊の護衛艦に引き継がれました。彼女の艦歴は、日本海軍における重要な一面を物語っています。

もう一度検索