上代知新

上代知新の生涯

上代知新（かじろ ともよし、1852年7月5日 – 1920年）は、日本の明治時代から昭和初期にかけての著名な牧師であり、教育者でもあります。彼は特に日本組合基督教会において数多くの業績を残し、51年間も山陽高等女学校の校長を務めたことでも知られています。この学校は、創設当初は山陽英和女学校と呼ばれており、現在は山陽学園中学校・高等学校として知られています。また、上代は校長としての生涯を通じて、彼の娘である上代淑に多大な影響を与えました。

生い立ちと初期の活動

上代は1852年に伊予松山藩士の三男として生まれました。彼の家系は伝統的な武士の出自を持っており、その後、1869年には上代さい子と結婚し、上代家の養子として家業を継ぎました。1871年には長女の淑が誕生し、家族を持つことになります。

1875年、彼は新島襄から洗礼を受け、伝道者としての道を志しました。同志社で学び、新島の教えを受けながら、彼は1876年から大阪梅本町公会において牧会を担当し、1858年には正式に大阪教会の牧師に任命されました。その後は京都で開催された基督教信徒大親睦会にも出席し、実情の厳しさに驚愕する姿が見られました。「東京の連中には酒を飲むものがいるという話だが、実にけしからん」と憤りを見せたというエピソードも残っています。

伝道活動と教育支援

1879年、上代はアメリカン・ボードの指名を受けて中国地方に派遣され、岡山教会に赴任しました。当時、金森通倫と協力し、岡山県中北部で伝道活動に従事します。1882年には高梁基督教会堂の初代牧師に就任し、そのかたわら、福西志計子が設立した女学校の運営にも尽力しました。また、1884年には留岡幸助に洗礼を授けるなど、教会の発展に寄与しました。

1886年には鳥取教会の設立に参加し、初代牧師としての役割も果たしましたが、1889年には一時的に伝道の職を離れることになります。この年には彼の娘、淑が岡山市で教職に就くこととなり、福西の支援を通じて彼女の自立を促したのではないかとも考えられています。彼はその後再び伝道界に復帰します。

ハワイ伝道と晩年

1897年にはアメリカン・ボードが九州伝道を中止したため、上代はハワイでの伝道活動に赴きました。オアフ島カカアコにおいて日本人教会を設立し、その後帰国すると福島県の米国福音教会の須賀川教会の牧師に就任します。

1920年、須賀川教会にてその人生を閉じました。彼の死後は、安藤喜市がその後を引き継ぐ形で代理牧師として教会を支えました。上代の墓所は岡山市の東山霊園にあり、彼の存在は今も多くの人々に敬われています。

参考文献

• - 竹中正夫『初期同志社と松山の人びと』
• - 安藤喜市『自叙伝』『野の声』いのちのことば社、1996年。
• - 守部喜雅『47都道府県それぞれの物語』いのちのことば社、2009年。

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