上元夫人

上元夫人について

上元夫人（じょうげんふじん）は、中国の道教において特に重要な女仙の一人です。彼女は天界で最も貴い存在とされ、長生を司る責任を担っています。道教における三天官の中で上元の官に位置づけられる彼女は、古代から信仰されており、特に長生の願いを込めて崇敬されています。彼女の小字は阿環（あかん）です。

歴史的背景

道教の古文献『墉城集仙録』によると、上元夫人は道君の弟子であり、長い歴史の中で得道し登仙を果たしました。真籍、すなわち仙人たちの名簿を管理する役目を持ち、亀台金母（西王母）に次ぐ重要な地位を有しています。また、彼女は時々九天玄女と混同されることがあります。

前漢の武帝が長生を願った際のエピソードは有名です。『漢武内伝』において、彼は七月七日に宮殿で西王母を迎え、彼女は侍女の郭密香を使者として上元夫人を呼び寄せました。しかし、上元夫人は天界での任務を果たしているため、しばらくの間待たなければなりませんでした。彼女と西王母は長い間、顔を合わせることがなかったと言います。

武帝は上元夫人の存在を知らず、西王母からその正体を教えられることとなります。上元夫人は武帝の前に姿を現し、礼をしようとしましたが、西王母が彼女を止め、共に座るように促しました。その際、上元夫人は武帝の様子を軽蔑し、彼の長生の欲望を厳しく叱責しました。彼女は武帝に特別な経典『五帝六甲霊飛十二事』を授け、その中には長生を得るための秘術が含まれていましたが、これは神仙以外の者には教えられないとされていました。

上元夫人の容姿

上元夫人の容姿は非常に美しく、まさに天からの使者を思わせるものです。彼女は天姿清耀、霊眸艶絶という形容がある通り、神々しい容貌を持ち、華やかな衣装をまとっています。赤霜の袍は錦と繍ではないにしろ、その色彩は目を引くもので、頭には三角髻を作り、腰まで伸びる長い髪をなびかせています。

また、彼女の頭には九霊夜光の冠をかぶり、体には六山火玉の珮が吊るされています。鳳文琳華の綬を佩用し、腰には精妙な流黄揮精の剣を帯びています。このように、上元夫人は二十歳過ぎの美しい女仙として多くの信者に称えられています。

『真誥』の記述では、彼女が赤霜袍と青毛錦の裘を着ている姿が描かれています。この姿もまた、彼女の神秘的で高貴なイメージを強調するものでしょう。

結論

上元夫人は道教の中で非常に重要な女仙であり、彼女の教えや姿は多くの信者に影響を与えています。その高貴な存在や、長生を司る役割は、現在でも信仰の対象となり、語り継がれています。彼女の物語は、道教の信仰において深い意味を持ち、多くの人々にとって希望の象徴となっているのです。

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