上党戦役

上党戦役の概要

上党戦役（じょうとうせんえき）は、1945年に中華民国の山西省上党地区（現在の長治市）で発生した国共両党間の初めての軍事衝突です。これは日中戦争が終結した後、国共内戦の幕開けとなった重要な出来事であり、中国共産党によって開始されました。この戦役は、重慶交渉と密接に関連しており、戦略的重要性を持つ軍事行動でした。

戦役の背景

1945年8月下旬、閻錫山の部隊である第19軍の指揮官、史沢波が4個師を率いて上党地区で日本軍の投降を受け入れました。しかし、この地域は孤立しており、中国共産党が戦争の勝利後に占拠する予定の地域でもありました。8月26日、中国共産党中央軍事委員会は、「すべての手段を用いて国民党軍を排除し、上党全区を奪回する」ことを命じました。これを受けて、劉伯承と鄧小平は上党地区への作戦を準備しました。

戦役の展開

戦役は9月10日から始まりました。晋冀魯豫軍区は太行、太岳、冀南の3個縦隊を閻錫山配下の各城に派遣し、戦闘が行われました。約10日後には多くの拠点が占領され、第19軍は長治で包囲されました。閻錫山は援軍を呼び寄せ、士気を高めるための連絡を行いましたが、援軍が到着する前に中国共産党軍が優位に立ちました。

10月5日、援軍は全滅し、閻錫山は史沢波に包囲を突破する指示を出しましたが、10月12日、中国共産党軍との激しい戦闘の末に、史沢波は捕虜となりました。

戦果とその影響

戦役を通じて、中国共産党軍は敵の第19軍、23軍、83軍など、計約3.5万人を壊滅させたとされています。また、27名の将官が捕獲され、山砲や機関銃などの武器も多数鹵獲されました。この戦役によって閻錫山の部隊は壊滅的な損失を受け、山西の守備を中央軍に頼らざるを得なくなりました。

上党戦役は、中国共産党にとって決定的な勝利となり、その後の重慶交渉における交渉力の強化にもつながりました。その結果、晋冀魯豫地区は強固な基盤となり、中国共産党が国を取るための重要なステップとなったのです。

上党戦役の終焉

上党戦役の結果として、閻錫山は独自の軍事的権限を失い、中央軍に頼らざるを得ない状況に追い込まれました。これにより、民国初年から続いていた彼の独立した支配が終わりを告げ、その後の国共内戦の状況を大きく変えることとなりました。

上党戦役は、国共内戦の序盤における重要な転機であり、その後の中国の歴史に多大な影響を与える出来事となったのです。

もう一度検索