上唇動脈

上唇動脈について

上唇動脈（じょうしんどうみゃく、英語: superior labial artery）は、顔面動脈から分岐する動脈の一つであり、主に上唇に血液を供給する役割を担っています。顔面動脈の枝の中でも比較的大きく、特徴的なのはその曲がりくねった走行です。これにより、顔の動きに合わせて柔軟に対応できるようになっています。

走行と構造

上唇動脈は、上唇の縁に沿って、粘膜と口輪筋の間を走行します。そして、反対側の上唇動脈と吻合（血管同士がつながること）することで、上唇全体の血流を確保しています。この吻合により、片側の動脈に障害が起きた場合でも、もう片側からの血流で上唇の血行を維持することが可能になります。

枝分かれ

上唇動脈は、上唇への栄養供給の他に、鼻へ向かう2～3本の枝を出します。これらの枝は、鼻の様々な部位に血液を供給する重要な役割を担っています。

中隔枝: 鼻中隔に向かい、そこで枝状に分かれて鼻の先端まで到達します。鼻中隔は鼻腔を左右に分ける壁であり、その血行を維持することは、鼻の正常な機能を保つ上で重要です。
翼枝: 鼻翼（びよく、小鼻）に栄養を供給します。鼻翼は鼻の穴を覆う部分であり、その形状や動きは呼吸や表情に影響を与えます。翼枝は、鼻翼の血行を維持し、その機能を支えています。

関連事項

* キーセルバッハ叢: 鼻中隔の前下部に位置する血管が豊富な部位。上唇動脈の中隔枝もこの部位に分布しており、鼻出血の原因となることがあります。

まとめ

上唇動脈は、顔面動脈から分岐し、上唇や鼻に血液を供給する重要な動脈です。その特徴的な走行や枝分かれの様子を知ることは、顔面の解剖学的な理解を深める上で役立ちます。

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