口輪筋

口輪筋（こうりんきん）

口輪筋は、顔の表情を作り出す浅頭筋の一つで、口唇を取り囲むように存在する筋肉です。主な役割は、口を閉じる、口を尖らせる、唇をすぼめるなど、口周りの動きをコントロールすることです。会話や食事、表情など、日常生活の様々な場面で重要な役割を果たしています。

解剖学的構造

口輪筋は、他の筋肉とは異なり、筋肉の一端が皮膚で終わる皮筋です。この特徴により、繊細な表情を作り出すことが可能になります。

起始

口輪筋は、以下の3つの場所から起始します。

上顎起始: 上顎切歯部唇側にある上顎骨歯槽隆起
下顎起始: 下顎切歯部唇側にある下顎骨歯槽隆起
鼻起始: 鼻中隔の筋線維束

これらの起始部から、口輪筋は口唇周囲を取り囲むように走行しています。また、周囲の皮筋補助線維束からも起始し、より複雑な動きを可能にしています。

支配神経

口輪筋は、顔面神経の枝である頬筋枝および下顎縁枝によって支配されています。近年では、頬骨枝も分布していることが報告されています。これらの神経が口輪筋に信号を送ることで、筋肉が収縮し、口周りの様々な動きが生じます。

楽器演奏との関連

口輪筋は、特に管楽器の演奏において重要な役割を果たします。管楽器を演奏する際には、口輪筋を緊張させてマウスピースを保持し、息を吹き込む必要があります。

トランペット奏者を対象とした調査では、上級者と初心者で口輪筋の活動に違いが見られることが報告されています。上級者では上口輪筋の活動が下口輪筋の活動に比べて低い傾向がありますが、初心者ではそのような違いは見られません。このことから、金管楽器演奏の上達には、口輪筋のバランスの取れた活動が重要であることが示唆されています。現在、この知見を基に、金管楽器演奏の上達のための新しい練習指標が検討されています。

その他の関連情報

顔: 口輪筋は顔の表情筋の一部であり、顔全体の印象を左右する要素の一つです。
解剖学: 口輪筋は口腔解剖学において重要な筋肉であり、人間の筋肉の一覧にも含まれています。
口唇裂: 口唇裂は、口輪筋を含む口唇の組織が先天的に形成不全となる疾患です。

参考資料

GPnotebook
Loyola University Chicago Stritch School of Medicine
SUNY Downstate Medical Center
eMedicine Dictionary
Roche Lexicon - illustrated navigator, Elsevier
BBC Picture of the circular-shaped muscle
* BBC (Flash) Animation of movements of the muscle

この情報は、グレイ解剖学第20版（1918年）384ページ本文を参考に作成されています。

もう一度検索