鼻中隔

鼻中隔について

鼻中隔（びちゅうかく）は、鼻の内部で左右を区切る重要な構造です。英語では「nasal septum」といい、ラテン語では「septum nasi」と呼ばれています。この組織は、鼻腔の壁の役割を果たし、空気の流れを調整する役割も担っています。鼻中隔は柔軟な組織で構成され、主に鼻中隔軟骨、鋤骨、および篩骨の垂直板からできています。鼻孔から咽喉の奥まで伸びており、成人になっても成長することが知られています。

鼻中隔の機能

鼻中隔の主な機能は、呼吸中の空気の流れをスムーズにすることです。鼻中隔は、左右の鼻腔を区分けすることで、空気が均等に分配されるように機能します。この構造が正しく機能することで、呼吸時の空気の流れが整えられ、嗅覚や匂いの感知にも影響を与えます。さらに、鼻中隔は異物の侵入や感染からの防御にも寄与しています。

鼻中隔の疾患

鼻中隔に関連する疾患として、特に注目されるのが「鼻中隔彎曲症」（びちゅうかくわんきょくしょう）と「鼻中隔穿孔」（びちゅうかくせんこう）です。

鼻中隔彎曲症

鼻中隔彎曲症は、鼻中隔が正中に位置せず、片側に偏っている状態を言います。これは先天的な原因や外部からの外傷、鼻での様々な刺激によって引き起こされることがあります。症状としては、片側の鼻が詰まる、鼻水が出る、頭痛や耳閉感を感じることがあります。治療の選択肢には、薬物療法や外科手術による矯正が含まれます。特に重度の症例では、外科手術が考慮されることが一般的です。

鼻中隔穿孔

鼻中隔穿孔は、鼻中隔に穴が開く疾患で、様々な原因によって引き起こされます。主な原因には、鼻中隔彎曲症の矯正手術後の合併症、慢性的な鼻かみや鼻ほじりによる外傷が挙げられます。また、多発血管炎性肉芽腫症や、工業的な環境における六価クロムの粉じんの吸入も要因です。この状態では、鼻腔からの出血や乾燥感、鼻閉を感じることがあります。穿孔の大きさや位置によっては、呼吸に影響を及ぼすこともあります。治療法としては、使用する装置や薬物療法が検討されるほか、外科的手術が必要な場合もあります。

関連項目

鼻中隔に関連する筋肉や神経も重要です。例としては、鼻中隔下制筋や外鼻神経などがあります。これらは鼻の機能や形状において重要な役割を果たします。

鼻中隔は言葉では簡潔に片付けられがちですが、その機能や疾患は複雑で多岐にわたります。鼻腔の健康を維持するためには、こうした知識を持つことが大切です。

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