上山市立山元中学校

上山市立山元中学校は、山形県上山市の郊外、自然豊かな山あいに位置していた公立中学校です。地域からは「山びこ学校」の愛称で親しまれていました。豪雪地帯という立地から、1978年には体育館の屋根の鉄骨が雪の重みで曲がり、倒壊の危険性が指摘されるなど、厳しい自然環境の中で運営されてきました。

生徒数の減少が深刻化し、2008年度には3年生の生徒がわずか3名のみとなり、2009年3月15日に最後の卒業式が行われ、その歴史に幕を閉じました。閉校式は同年3月22日に中学校で盛大に開催され、約300名の卒業生や関係者が集まり、別れを惜しみました。

閉校後の2012年春には、旧校舎が山元地区公民館兼診療所として再利用されることになり、地域住民の生活を支える新たな拠点として生まれ変わりました。さらに、市役所の山元支所も併設され、地域行政の拠点としての役割も担うことになりました。2階には資料室も設けられましたが、資料の散逸により、往時の山元中学校を偲ぶことができる展示物は限られています。

山元中学校の学区は、上山市立山元小学校の学区と一致していました。学校の沿革を振り返ると、1947年（昭和22年）に山元村立山元中学校として創設され、1950年（昭和25年）には中学校校舎が完成しました。1951年（昭和26年）には、無着成恭が担任したクラスの2年生が作成した文集「きかんしゃ」が『山びこ学校』というタイトルで出版され、同年7月11日には天野貞祐文部大臣が視察に訪れるなど、教育界でも注目を集めました。さらに、1952年5月1日には『山びこ学校』が映画化され、全国で公開されました。その後、1954年（昭和29年）には体育館が落成し、1957年（昭和32年）には町村合併により上山市立山元中学校に改称しました。1958年（昭和33年）には校歌と帽章が制定され、学校のシンボルが確立されました。1969年（昭和44年）には図書館が新設され、共同調理場が完成したことで完全給食が開始されました。1972年（昭和47年）にはプールが完成し、教育環境の整備が進められました。1982年（昭和57年）には小白府分校が休校となり、1985年（昭和61年）には新グラウンドが完成しました。2001年（平成13年）には特認校に指定され、2005年（平成17年）には山元小学校が休校となりました。

山元中学校の校歌は、作詞を詩人の結城哀草果が、作曲を齋藤次郎が担当しました。歌詞には、「しずかな山のふところに」「ほた火のにおう元気な子供」「蚕のにおうやさしい子供」といった言葉が用いられ、自然豊かな環境と子供たちの純粋な心を表現しています。

学校周辺には、国道348号が通っており、交通の便も比較的良好でした。山元中学校は、山形県の中学校教育において重要な役割を担ってきましたが、生徒数の減少という時代の流れには抗えず、その歴史に幕を下ろしました。しかし、地域住民にとっては、学び舎としての役割だけでなく、地域コミュニティの中心としての役割も担ってきたため、閉校後もその存在は人々の心に深く刻まれています。

関連する項目として、山形県中学校一覧や、文集「きかんしゃ」の担任であった無着成恭の名前が挙げられます。

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