上山草人

上山 草人

上山草人（かみやま そうじん、1884年1月30日 - 1954年7月28日）は、日本の俳優であり、芸能界に多大な影響を与えた人物です。本名は三田貞（みた ただし）、別名を半月としています。彼は坪内逍遥の文芸協会に参加し、近代劇協会を設立するなど、新劇運動の先駆者として活動しました。

生い立ちと初期のキャリア

宮城県遠田郡涌谷町に生まれた草人は、厳格な父のもとで育ち、母とは早くに離れ離れになりました。宮城県立第二中学を卒業した後、上京し早稲田大学に進学しましたが、意に沿わず中退し、東京美術学校日本画科に入学しました。この頃、彼は演劇に強い興味を持ち、俳優としての道を歩むことになりました。

1905年に初舞台を踏んだ後、草人は新派劇団や近代劇協会で活躍し、1930年代には主要な舞台作品に出演しました。特に1912年には近代劇協会を結成し、イプセン作『ヘッダ・ガブラー』の上演で注目を集めました。

ハリウッドへの挑戦

1919年、草人はアメリカに渡り、ハリウッドでの映画界に進出しました。彼はダグラス・フェアバンクス主演の『バグダッドの盗賊』に出演するなど、日本人俳優として海外で名を馳せました。彼の演技は多岐にわたり、中国人の悪役として多くのサイレント映画に出演しましたが、日本人役には巡り会えず、主に複雑なキャラクターを演じることが多かったと語っています。

トーキー映画の登場に伴い、彼は英語の壁に直面し、仕事は次第に減少。1930年には日本に帰国し、松竹での新たなスタートを切りました。

帰国後の活動

帰国後は松竹蒲田撮影所に勤務し、映画『愛よ人類と共にあれ』で主演し、以降も『唐人お吉』や『赤西蠣太』など多くの作品に出演しました。彼は俳優としての演技力に加え、映像制作にも力を入れるようになりました。特に、1942年に上映された『鞍馬天狗横浜に現る』や1944年の『国際密輸団』では、役者としての存在感を発揮しました。

草人の晩年は、著作活動も行い、谷崎潤一郎との親交を深める中で自伝的小説を執筆しました。彼が描いた作品には、彼自身の華やかな人生や、俳優としての苦悩、そして当時の文化が色濃く反映されています。

最期と影響

1954年、黒澤明の『七人の侍』で琵琶法師役を演じた後、草人は腸閉塞手術の影響で亡くなりました。彼の死は、日本の映画界に多くの会話と考察をもたらしました。俳優としての草人の活躍は、戦後の日本映画の発展に寄与し、彼の名前は今でも語り継がれています。

上山草人は、単なる俳優以上の存在でした。彼は新たな演劇スタイルを切り開き、日本の文化や演劇界に大きな足跡を残しました。

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