上岡信夫

上岡 信夫

上岡信夫は、1950年8月25日に埼玉県川越市で生まれた日本のフリーアナウンサーである。大正大学文学部国文学科を卒業後、1975年4月1日に宮崎放送（MRT）に入社した。アナウンサーを志したきっかけは、実家の近所に住んでいたNHKアナウンサーから受けた「マイク一本で多様な経験ができるから、アナウンサーという仕事は素晴らしい」という言葉だったという。

MRTに入社して以来、氏のキャリアは一貫してアナウンサーとしてのものであった。局内ではアナウンス室長やラジオ局長を兼任するなど、放送部門の中心的な役割を担った。長年にわたり、テレビ・ラジオ双方で様々な番組を担当し、地域に根差した放送活動を展開。その声と人柄は、多くの宮崎県民にとって馴染み深いものとなった。

2010年9月30日、上岡氏はMRTを定年退職した。しかし、放送への情熱は衰えることなく、現在はフリーランスのアナウンサーとして活動を続けている。特筆すべきは、定年後もそれまでと変わらず、MRT制作の番組に数多く出演し、精力的に活動している点である。このことは、氏が長年培ってきた信頼と実績がいかに厚いかを示している。

担当番組

上岡氏のキャリアを語る上で欠かせないのが、長年にわたり担当した数々の番組である。ラジオにおいては、洋楽リクエスト番組である『ユアヒットパレード』が特に知られている。MRTの開局初期から続くこの番組は、幾度かの中断を経つつも、氏が1980年代から90年代にかけて主にDJを担当し、まさに「ライフワーク」とも呼べる存在となった。2010年頃からは『ユアヒットパレードRETURNS』として復活し、現在も担当し続けている。

昼のワイド番組『GO!GO!ワイド』にも深く関わった。局アナ時代には水曜パーソナリティを務め、一度降板した後、フリー転向後の2012年4月からは再び木曜・金曜パーソナリティとして復帰し、約2年間担当した。パーソナリティとしてだけでなく、プロデューサーとしても同番組に関わり、日本民間放送連盟賞の受賞にも貢献している。

朝のワイド番組『フレッシュAM!もぎたてラジオ』でも、2014年の放送開始当初から現在に至るまで、水曜日から金曜日のMCを務めている。この他にも、ラジオでは『あの味この味うまい店』のナレーションを1986年から現在まで担当しており、再春館製薬所「痛散湯」のラジオCMの宮崎版ナレーションも長く担当している。

テレビでは、『MRTニュースワイド』でアンカーマンを1990年から1995年まで務めたほか、『チュンチュンあんてな』、『生スタ955』などの番組で司会を担当した。また、ドキュメンタリー番組『月刊みやざきイタダキッズ』や、様々な特別番組でナレーションを担当し、その落ち着いた語り口で番組に深みを与えた。開局記念特番や宝くじ抽選会、イベント中継など、大型特番の司会も数多く務め、テレビ画面でもその存在感を示した。

人物と評価

親しみやすい人柄で知られ、リスナーや視聴者からは「のぶさん」の愛称で呼ばれている。自身もラジオ番組でこの愛称を用いて自己紹介することがある。趣味はゴルフ、盆栽、短期のんびり旅行と多岐にわたる。

上岡氏の放送人としての功績は、数々の受賞歴によっても裏付けられている。特に、アナウンサーの技術を競うアノンシスト賞では、ラジオCM部門、テレビCM部門、テレビ番組部門で複数回にわたり受賞しており、そのアナウンス技術の高さは広く認められている。また、ナレーションを担当したドキュメンタリー番組、『電撃黒潮隊』シリーズや『宇宙から見た生命～Dr.KASHIMAの世界～』は、アートネイチャースペシャル電撃黒潮隊大賞のほか、世界テレビ映像祭、地球の時代賞、JNNネットワーク協議会賞など、国内外の権威ある賞を多数受賞しており、ナレーターとしての表現力と番組内容への貢献が高く評価されている。構成を担当したCMがACC全日本CMフェスティバルで優秀賞を受賞した実績もあり、単なる話し手にとどまらない、放送表現全般における多才さを示している。日本民間放送連盟賞においても、ラジオ放送活動部門やラジオ教養番組部門での受賞にアナウンサーとして関与している。

長年にわたり宮崎放送の中心的なアナウンサーとして活躍し、定年後もフリーとして第一線で活動を続ける上岡信夫氏は、その豊かな経験と確かな技術、そして親しみやすい人柄で、宮崎の放送文化の発展に多大な貢献を果たしている。現在もなお、彼の声は宮崎のラジオ・テレビを通じて多くの人々に届けられている。

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