電撃黒潮隊

『アートネイチャースペシャル・電撃黒潮隊』は、1992年10月から2002年9月までの10年間、e-JNNを構成する山口県、九州地方、そして沖縄県のTBS系列局8局が共同で制作・放送したブロックネット形式のドキュメンタリー番組です。ヘアケア製品で知られるアートネイチャーの一社提供により、全507回が制作・放送されました。

この番組のタイトルには、「黒潮が洗う豊かな郷土の風土や文化を、あたかも電撃が走るかのような鮮烈さと瑞々しさで伝えたい」という、制作に携わる若手スタッフたちの熱意と意欲が込められていました。番組では、この広大なエリアにおける様々な地域課題や人々の暮らし、文化などに深く切り込んだドキュメンタリー作品を送り出し続けました。

番組の大きな特徴の一つとして、放送された作品の中から優れたものを顕彰するコンクールが開催されていた点が挙げられます。各局が制作した力作が審査され、その年の最優秀作品は、年末の最終放送回（一部の局では年始に放送される場合もありました）においてアンコール放送されるという慣例がありました。ただし、番組が予定より早く2002年9月に終了したため、この年の最終回では最優秀作品のアンコール放送は実施されませんでした。このようなコンクール制度は、地域報道におけるスタッフのモチベーション向上や番組の質の維持・向上に寄与したと考えられます。

番組の放送時間は、その歴史の中で何度か変更されました。番組が始まった1992年10月から1995年9月までの期間は、各局によって放送される曜日や時間が異なり、統一されていませんでした。しかし、1995年10月からは状況が変わり、2001年9月までの6年間は、山口県、九州、沖縄の全e-JNN加盟局で共通して毎週土曜日の夕方に放送される形がとられました。これにより、ブロック全体での視聴習慣が形成されやすくなったと言えるでしょう。番組終了を控えた2001年10月以降は、再び放送時間が分散し、RKB毎日放送、大分放送、南日本放送は引き続き土曜夕方に放送した一方、長崎放送や熊本放送は日曜午前、その他の局はそれ以外の時間帯で放送されることになりました。

『アートネイチャースペシャル・電撃黒潮隊』の終了後、その放送枠およびドキュメンタリー番組という形式は後継番組へと引き継がれました。後番組のタイトルは当初、『ムーブ○○○○』として放送年の西暦が入る形でしたが、2008年からは『JNN九州・沖縄ドキュメント ムーブ』としてタイトルが固定され、現在に至るまで放送が続けられています。ただし、『ムーブ』への移行に伴い、提供体制には大きな変化がありました。『電撃黒潮隊』が一社提供だったのに対し、『ムーブ』は複数社の協賛によるパーティシペーション形式で放送されています。

番組は多くの優れたドキュメンタリー作品を生み出し、地域社会に様々な視点を提供しました。その取材活動の一部は書籍としてもまとめられています。福岡市にある「図書出版石風社」からは、本番組の取材記を編纂した書籍が2巻出版されています。1996年には『電撃黒潮隊 1992-1995』が（ISBN 4-88344-019-2）、1999年には『電撃黒潮隊・挑戦編 1996-1998』が（ISBN 4-88344-054-0）それぞれ刊行されており、これらは番組制作の舞台裏や、取り上げられたテーマについてより深く知るための貴重な資料となっています。これらの書籍は「電撃黒潮隊編集部」が執筆・編集を担当しました。

『アートネイチャースペシャル・電撃黒潮隊』は、e-JNNというブロックネットの枠組みを活用し、地域に根差したドキュメンタリーを継続的に制作・放送した点で特筆される番組でした。その活動は、後継番組に引き継がれつつ、地域報道の一つのあり方を示すものと言えるでしょう。

関連事項

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ブロックネット

外部リンク

* JNN 電撃黒潮隊（インターネット・アーカイブ保存データ）

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