上月晃

上月 晃（こうづき のぼる）

上月晃は、1940年に熊本県山鹿市で生まれた歌手兼女優です。本名は原口貴美子であり、1950年代末期から1970年代にかけて、特に宝塚歌劇団での活躍が知られています。彼女は162センチの身長を活かし、多岐にわたる役柄に挑戦し、多くの観客に愛されました。

来歴と背景

上月は熊本県立山鹿高等学校を卒業後、宝塚音楽学校への受験を決意します。愛称は「ゴンちゃん」で、これは熊本弁で「お嬢ちゃん」を意味する言葉から由来しています。高校時代は器械体操選手としても名を馳せ、国体で準優勝の実績も持っています。

宝塚音楽学校に受験時は、地元の高校名が入った体操着を着用し、特異なエピソードとして語られています。1960年には宝塚歌劇団の46期生として入団し、その後すぐに華々しいデビューを果たします。初舞台は星組公演の『春の踊り』『ビバ・ピノキオ』で、1961年には月組に配属されました。

宝塚歌劇団での活躍

上月は宝塚において、声楽専科に異動した後、1965年には星組の主演男役を務めます。その才能が評価され、1964年には芸術祭奨励賞を受賞。下積み時代を経て多くの舞台に立った彼女は、特に1968年の『虹を追って』の公演での退団表明といった出来事でも注目されました。

1970年の『ザ・ビッグ・ワン』をもって宝塚歌劇団を退団、最後の公演となったこの舞台では東京中が彼女の熱狂的なファンで賑わったという逸話も残っています。

女優としてのキャリア

宝塚退団後は、NHK大河ドラマ『春の坂道』に出演し、豊臣秀次の側室役を演じたことから、再び注目を浴びます。パリのフォリー・ベルジェールでのレビューにおいても、東洋人初の主演を果たし、その後も多くのミュージカルで主演を務めました。

特に1979年の『ラ・マンチャの男』では文化庁・芸術祭優秀賞を受賞し、日本のミュージカル界における存在感を印象づけました。1983年には菊田一夫演劇賞を受賞し、女優としての地位を確立します。私生活では独身を貫き、多くのスキャンダルにも関わらず、最後まで芸能人としての道を全うしました。

最期とその後

1999年3月25日、58歳という若さで逝去。彼女の死因は大腸癌であり、その知らせがピアノを伴う舞台『42nd ストリート』の腸閉塞による休演に続く形で伝えられました。彼女の通夜と葬儀は印象的で、多くの人々が彼女に別れを告げました。

2014年には彼女の功績が評価され、宝塚歌劇団創立100周年を記念した「宝塚歌劇の殿堂」に殿堂入りを果たしました。

主な舞台作品

宝塚歌劇団時代の主な舞台

• - 「明日に鐘は鳴る」（1961）
• - 「ラ・グラナダ」（1965）
• - 「ザ・ビッグ・ワン」（1970）

退団後の主な舞台

• - 「新・平家物語」（1973）
• - 「屋根の上のヴァイオリン弾き」（1975）
• - 「ラ・マンチャの男」（1977・1979）
• - 「シカゴ」（1983）

上月晃は多面的な才能を持った、宝塚のスターとしての名声を築き上げた女性であり、彼女の残した功績は今も多くのファンによって語り継がれています。

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