上杉朝房

上杉朝房（うえすぎ ともふさ）とは

上杉朝房は、南北朝時代に活躍した武将であり、室町幕府の関東管領を務めた守護大名です。犬懸上杉家の二代目当主として、上総国と信濃国の守護を歴任しました。激動の時代を生き抜き、関東地方の政治に大きな影響を与えた人物として知られています。

生涯

1335年、犬懸上杉家の上杉憲藤の子として誕生しました。1338年に父が戦死したため、幼くして弟と共に家臣に養育されました。二橋上杉家（後の扇谷上杉家）の上杉朝定も後見人となり、一時は朝定の養子となる可能性もありました。

1349年に但馬国守護に任じられましたが、翌年には辞任。これは観応の擾乱における足利尊氏・高師直による上杉氏切り崩し工作によるものと考えられています。その後、足利直義方に付き、京都を脱出する途中で朝定が病没しました。

その後、義父で伯父にあたる上杉憲顕の復権に伴い、1364年に上総守護、1366年には信濃守護に任じられました。1368年には武蔵平一揆の鎮圧に貢献し、憲顕の死後、従兄の上杉能憲と共に幼少の足利氏満を補佐する関東管領に就任、「両管領」として活躍しました。

1369年には氏満の命で宗良親王を攻め、1370年には新田氏の勢力を撃退しました。また、善光寺別当の栗田氏を攻めましたが、これは失敗に終わりました。同年8月には管領職の辞表を提出しましたが、実際に辞任が認められた史料は存在せず、その後も関東管領を務めていた可能性が指摘されています。一時京都に上洛した後、鎌倉に戻りますが、1377年には信濃の国務に関する幕府の命令を京都で直接受けており、この頃は京都に滞在していたと考えられています。

1391年に京都で死去したとされていますが、没年には諸説あります。初め、越後守護である山内上杉家の上杉房方を養子に迎えていましたが、後に甥の上杉氏朝を養子とし、後継者と定めました。

人物・エピソード

幼少期から激動の時代を生き抜き、武将としての力量を発揮しました。
関東管領として、幼少の足利氏満を支え、関東地方の安定に尽力しました。
観応の擾乱や武蔵平一揆など、多くの戦乱で活躍しました。
守護大名として、上総国と信濃国の統治に力を注ぎました。
養子を巡る動きなど、複雑な人間関係も垣間見えます。

参考文献

小国浩寿『鎌倉府体制と東国』吉川弘文館、2001年。
黒田基樹 編『関東管領上杉氏』戒光祥出版、2013年。
山田邦明「犬懸上杉氏の政治的地位」『千葉県史研究』11号別冊、2003年。
* 阪田雄一「南北朝前期における上杉氏の動向」『国史学』164号、1998年。


上杉朝房は、その生涯を通して、激動の南北朝時代を生き抜き、関東地方の歴史に大きな足跡を残しました。彼の足跡は、現代においても、多くの人々に語り継がれています。

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