栗田氏

栗田氏について

栗田氏（くりたし、くりたうじ）は、日本の氏族の一つです。主に信濃国に勢力を持った武家氏族として知られていますが、常陸国にも同名の氏族が存在しました。

信濃栗田氏

信濃栗田氏は、清和源氏の一流である河内源氏の頼清流村上氏の支流にあたります。村上為国の子である寛覚が、顕光寺（延暦寺系山門派）の別当となり、信濃国水内郡栗田村に住んだことから栗田氏を名乗るようになりました。鎌倉時代から室町時代にかけては、善光寺（園城寺系寺門派）の別当職も世襲し、寺門派と山門派という対立する二つの寺を支配下に置くほどの有力国人として発展しました。

市原合戦

1180年、信濃国市原（現在の長野市若里付近）で、平家に味方する笠原平五頼直と、源氏方の村山七郎義直や栗田寺別当大法師範覚が戦いました。この戦いは決着がつかず、後に木曽勢が参戦、さらに越後から城氏が加勢して横田河原の戦いへと発展しました。

上杉氏との戦い

1369年、信濃国守護でもあった関東管領上杉朝房が善光寺に向けて出陣しました。春山城から氷鉋、平柴へと陣を移して転戦しましたが、栗田氏は上杉氏に従わなかったため、栗田城を攻められました。栗田氏は上杉軍を迎え撃ちましたが、栗田城西木戸口での合戦で制圧されました。

戦国時代

戦国時代初期までは、惣領家の村上氏に従っていましたが、川中島の戦いでは武田方（善光寺の里栗田）と上杉方（戸隠神社の山栗田）に分裂しました。
1553年、村上義清が武田信玄に敗れて越後へ逃れると、栗田永寿（初代）は武田方に下りました。そして、武田氏の足軽大将として60騎を率いました。1555年の第二次川中島の戦いでは、栗田氏は武田方について旭山城に篭り、武田の増援兵や武器を得て上杉謙信を牽制しました。この時、上杉方も葛山城を築いて対抗しました。今川義元の仲介で和睦した後、栗田寛久は善光寺本尊を持ち出し、甲斐善光寺へ移しました。そのため栗田城は破却されました。

安土桃山時代

1582年、織田・徳川連合軍の甲州征伐により武田氏が滅亡すると、栗田国時は越後国へ逃れ、上杉景勝に仕えました。上杉景勝が会津に移封されると、栗田国時は信夫郡大森城主となり、8,300石を与えられました。しかし、1600年に徳川家康が上杉景勝討伐のため出陣すると、国時は家康との和睦を主張しましたが受け入れられず、反戦派として上杉景勝の元を離れました。その後、大森城の南東で上杉景勝の追っ手によって殺害されました。

江戸時代

江戸時代には、子孫が庄内藩、水戸藩、松本藩とそれぞれに仕えました。

信濃栗田氏関連人物

栗田寛覚：村上為国の子で、栗田氏初代。栗田寺別当大法師範覚とも。
栗田永寿（初代）：生没年不詳。
栗田寛久：1551年 - 1581年。武田氏家臣。
栗田国時：生年不詳 - 1600年。栗田刑部とも。

常陸国の栗田氏

常陸国の栗田氏は、桓武平氏を祖とする川崎氏の支流にあたります。下小瀬の古城主・川崎次郎の後裔と伝えられています。家紋は丸に二つ引き、女紋としては九曜の星を用いました。水戸藩の栗田寛もこの一族の末裔とされています。また、佐竹氏の家臣にもこの栗田氏の名が見られます。

脚注

太田亮『姓氏家系大辞典』には、栗田氏に関する記述が掲載されています。
常陸太田市史編さん委員会『佐竹家臣系譜』には、常陸国の栗田氏に関する記述があります。

関連項目

* 寛慶寺

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