上杉長政

上杉長政

江戸時代前期に幕府に仕えた高家旗本、上杉長政（うえすぎ ながまさ）に関する項目である。

生涯

上杉長政は、高家旗本・上杉長員の長男として生まれた。彼の生母は、父・長員の側室であったと伝えられている。

父、長員の死去に伴い、元和9年（1623年）に家督を継ぎ、高家旗本としての地位を継承した。しかし、その後の彼の生涯は極めて短く、家督相続からわずか5年という期間で世を去ることとなる。具体的な没年は明らかではないが、計算上では元和9年（1623年）の5年後、すなわち寛永5年（1628年）頃のことと推測される。

彼は後嗣となる子を残さなかったため、その死後、上杉家の家督は弟である長貞が引き継ぐこととなった。このように、上杉長政自身の高家旗本としての活動期間は非常に短く、特筆されるべき事績は今日ほとんど伝わっていない。

高家旗本という立場

上杉長政が就いた高家旗本という役職は、江戸幕府における特別な地位であった。高家は、大名や上級旗本の中から選ばれ、主に朝廷との交渉や儀式典礼を司る役職であり、家格を重んじられる存在であった。彼らは将軍に近侍し、その家格から高い格式が求められる存在であった。上杉長政も、こうした高家旗本の一員として幕府に出仕していたのである。

上杉家高家について

上杉家と聞くと、出羽国米沢藩を治めた大名家が最も有名である。しかし、江戸時代には、この米沢藩上杉家とは別に、高家として存続した上杉家の系統も存在した。上杉長政の属する家系は、まさにこの高家旗本として幕府に仕えた上杉家の一つであり、米沢藩主家とは分かれた別の流れを汲む家柄であった。

結び

上杉長政は、父の跡を継いで高家旗本となったものの、その治世は極めて短く、後嗣を残すことなく早世したため、その生涯に関する情報は極めて限られている。歴史上の人物として、彼の事績よりも、彼が属した高家旗本という役職や、高家として存続した上杉家という家系に関する一般的な背景情報を通じて語られることが多い存在と言えるだろう。彼の短い生涯は、家督相続という重責を担ってから間もない急逝という形で幕を閉じ、家系は弟によって受け継がれていくこととなったのである。歴史の表舞台で大きな足跡を残すことはなかったが、彼もまた江戸時代前期の幕府に仕えた武士の一人として、その短い生涯を終えたのである。

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