上杉長員

上杉長員（うえすぎ ながかず）

上杉長員は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて幕府に仕えた武将であり、江戸幕府における高家旗本の一人です。別名を上条長員とも称しました。高家上杉家の初代としてその名を残しています。

生い立ちと出自

長員は天正10年（1582年）に、畠山義春の次男として生を受けました。父である義春は、かつて上杉謙信の養子となり、越後上杉家の分家である上条上杉家を継承した時期があったため、上条あるいは上杉の姓を用いていました。長員の母は、謙信の後を継いだ上杉景勝の姉妹にあたります。このため、長員は父方としては能登畠山氏、すなわち清和源氏の足利氏の流れを汲む家系に連なりますが、母方からは藤原氏を本姓とする上杉氏の血を引くことになります。

上杉姓を称し続ける選択

父・義春は、関ヶ原の戦いの際も上杉姓のまま東軍の一員として小山軍議に参加しています。しかし、大坂夏の陣が終結した後、畠山姓へと復帰しました。一方、長員は、母が上杉景勝の姉妹であるという血縁関係、そして上杉家に対して深い恩義を感じていたことから、父が畠山姓に戻した後も上条または上杉の姓を名乗り続けることを選びました。後に徳川政権下で、正式に上杉姓を名乗ることを許されることになります。

幕府への仕官と高家としての道

慶長6年（1601年）11月、長員は初めて江戸幕府を開いた徳川家康に謁見する機会を得ました。この時、家康から下総国印旛郡・千葉郡、常陸国河内郡・信太郡に合計1490石の所領を与えられ、幕府の旗本として取り立てられました。これにより、上杉家（上条家）は徳川幕府の家臣団に組み込まれることとなります。

慶長9年（1604年）以降は、家康の命によって、後の二代将軍となる徳川秀忠に付属する形で仕えました。幕府において高家の役に任じられた長員は、高家上杉家を創設します。この家系は、母方の上杉氏に由来する藤原氏を本姓とし、「上条の五三桐」を定紋としました。

家族と最期

長員は、豊後守護大友氏の末裔である大友義乗の娘を正室に迎えています。彼女との間に生まれた長男、長政が家督を継承することになります。

元和9年（1623年）8月24日、上杉長員は42歳でその生涯を閉じました。複雑な出自を持ちながらも上杉姓を貫き、江戸幕府において高家としての地位を確立し、後の高家上杉家の礎を築いた人物として歴史に名を残しています。

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