上村健太郎

上村健太郎は、1908年（明治41年）に兵庫県で生まれました。父は陸軍中将の上村良助です。東京府立四中、旧制一高を経て、1930年（昭和5年）に東京帝国大学法学部政治学科を卒業後、内務省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。秋田県属を皮切りに、警視庁では官房主事、特別高等警察部長などを歴任しました。

戦後、上村は新たな役割を担うことになります。1952年（昭和27年）には保安庁長官官房長に就任。そして1954年（昭和29年）、初代航空幕僚長という重責を担うことになりました。この人事は、航空自衛隊の発足初期における旧陸海軍出身者の対立を背景に、文官出身である上村が選ばれたという経緯があります。当初、保安庁長官の木村篤太郎は、次長を増原惠吉から上村へ交代させようとしましたが、上村は固辞し、航空幕僚長に就任しました。

1956年（昭和31年）に退官後も、上村の活躍は止まりません。1957年（昭和32年）には調達庁長官に、1958年（昭和33年）には総理府総務副長官（事務担当）に就任しました。その後、1960年（昭和35年）には日本道路公団副総裁、1962年（昭和37年）には同公団総裁に就任し、日本の道路整備に尽力しました。また、1968年（昭和43年）には東京12チャンネルプロダクション（現在のテレビ東京）の社長に就任し、メディア業界にも足跡を残しました。

晩年は、1972年（昭和47年）に立飛企業社長、後に会長を務め、実業家としての手腕も発揮しました。1981年（昭和56年）8月4日に亡くなり、その功績を称えられ、従三位・勲二等旭日重光章が叙勲されました。

上村健太郎の生涯は、激動の時代を背景に、行政、軍事、そして民間企業という多岐にわたる分野で、その才能とリーダーシップを発揮したものでした。彼の足跡は、日本の戦後復興と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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