上村和裕

北海道滝川市出身の上村和裕は、捕手としてプロ野球でプレーした元選手です。俊足の捕手として知られ、キャリアの途中で両打ちにも挑戦しました。

プロ入りまで

滝川シニア時代には全国大会でベスト4に進出。北照高校では2年生時に外野手としてプレーした後、3年生では主将を務め、春の甲子園に出場しました。惜しくも2回戦で敗退し、夏の予選でも甲子園出場は叶いませんでしたが、その才能は注目され、2000年のNPBドラフト会議でオリックス・ブルーウェーブから3位指名を受け、プロ入りを果たしました。

オリックス時代

プロ入り2年目の2002年には、高卒捕手としては異例とも言える早さで一軍公式戦の出場機会を得ました。しかし、その後の数年間は打撃面で波があり、一軍定着には至りませんでした。2004年の夏、打撃不振から脱却しようと左打席での練習を取り入れた際、当時の二軍打撃コーチの助言もあり、スイッチヒッターへの転向を決断します。同年オフ、球界再編による選手分配ドラフトでオリックス・バファローズへ移行しました。

広島時代

2005年1月、菊地原毅投手との交換トレードで、山崎浩司選手と共に広島東洋カープへ移籍します。新天地でも一軍での出場機会は限定的で、2006年には約4年ぶりに一軍に昇格するも、結果を残せず再び二軍での調整が続きました。しかし、二軍では出場機会を増やし、2007年には打率を2割台に乗せ、出場試合数も50を超え、二軍の正捕手格として地位を確立しました。2008年も二軍では打率こそ伸び悩んだものの、選球眼が向上し、多くの四死球を選んで高い出塁率を維持。同年8月には実に約6年ぶりとなる一軍での安打を記録しました。

2009年4月25日には、マツダスタジアムでの阪神タイガース戦でプロ初となる打点を記録しました。この年の一軍出場はこの1試合のみでしたが、二軍では會澤翼捕手の台頭もあり、捕手以外のポジションも経験しつつ、自己最高の打率.271を残すなど打撃の進化を見せました。その後も二軍では堅実な成績を残しましたが、一軍への定着は叶わず、2010年、2011年は一軍出場なし、2012年、2013年、2014年も出場機会は限られました。2014年シーズン終了後、球団から戦力外通告を受け、現役生活に幕を下ろしました。

選手としての特徴とエピソード

捕手としての守備では、ホームベース上での体を張ったブロックや、ワンバウンドの投球を止める能力が高く評価されていました。一方で、送球に関しては課題も指摘されていました。俊足の捕手であり、スイッチヒッターとして注目されましたが、特に左打席での力強さなど、打撃はプロで最後まで追求すべきテーマでした。四死球と三振が多い傾向があり、二軍ではリーグ最多死球を2度記録したこともあります。強気な性格で、二軍戦では球審の判定に異議を唱える場面もあったようです。2008年のオープン戦では、守備中にネクストバッターサークルに置かれたバットにつまずき落球するという珍しいプレーがあり、守備妨害で打者アウトとなる一幕もありました。

引退後の活動

現役引退後、上村氏は野球界に留まりました。2015年からは古巣オリックス・バファローズの球団職員となり、アマチュアスカウトとして若手選手の育成に尽力しました。約9年間スカウトとして活動した後、2023年限りでオリックスを退団。2024年からは、自身の母校である北照高校野球部のテクニカルアドバイザーに就任し、後進の指導にあたっています。

主な記録と背番号

プロ初出場は2002年7月17日の対大阪近鉄バファローズ戦、プロ初安打は同年8月2日の対千葉ロッテマリーンズ戦で記録しました。プロ入り後、オリックスでは背番号「53」を着用。広島移籍当初は「66」でしたが、後に「27」に変更し、引退までこの番号を背負いました。

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