上村春樹

上村春樹：日本柔道界のレジェンド

上村春樹（うえむら はるき、1951年2月14日生まれ）は、日本の名柔道家であり、講道館9段の称号を持つ人物です。彼は1976年のモントリオールオリンピックにおいて柔道無差別級で金メダルを獲得し、その後も国際舞台での活躍が続きました。引退後は全日本柔道連盟の会長や講道館の館長を歴任し、柔道の普及と振興に貢献しています。

幼少期と高校時代

熊本県下益城郡小川町（現在の宇城市）で育った上村は、もともと肥満体型でした。両親の勧めで小学校5年生の時に柔道を始め、すぐに地元大会で優勝を果たしました。しかし、周囲の子供たちよりもはるかに体重が重く、公式の称賛が心からの喜びではなかったことを後に語っています。

中学校では運動神経が鈍く、柔道の試合にもなかなか出場できませんでしたが、県立八代東高に入学後、土谷新次師範と出会ったことで柔道の技術を磨くことに専念するようになりました。土谷の厳しい指導の元、体重を76kgまで絞り、基礎体力を鍛えました。高校時代はインターハイには出場できなかったものの、福井県での国体においてはチームの優勝に貢献し、大学進学に向け明治大学柔道部への入部を果たしました。

明治大学時代

明治大学に入学した際、上村は自信満々でしたが、初日の練習でその自信は過信であったことを思い知らされました。先輩たちとの練習に苦しみながらも、神永昭夫監督の激励を受け、柔道の技術を向上させるために努力を重ねました。特に、内股を使った攻撃に加え、新たな技術を取り入れることで実力を急速に伸ばしました。

4年次には大学代表として全日本選手権に臨み、さらには学生選手権や世界学生選手権でも優勝を果たしました。

全日本選手権と世界選手権

1973年に明治大学を卒業後、上村は旭化成柔道部に入部。全日本選手権ではたちまち優勝し、日本一の地位を手に入れましたが、さらなる高みを目指して練習を重ねました。1974年の世界選手権では決勝に進むも敗北し、ライバルとの対戦を重ねる中で新たな技への挑戦も行いました。その結果、1975年の全日本選手権で2度目の優勝を果たし、続く世界選手権では見事な件を成し遂げました。

モントリオールオリンピック

1976年のモントリオールオリンピックに向け、上村は徹底的にトレーニングを行い、全日本選手権では準決勝で若き天才・山下泰裕に勝利し、オリンピック出場権を手にしました。オリンピック本番では、初戦から決勝まで見事な戦績を残し、金メダルを獲得。日本における無差別級金メダルは柔道がオリンピックの正式種目に採用されて以来初めてのことでした。この成功は、彼の努力と師弟の絆を象徴する瞬間でもありました。

引退とその後

上村は柔道界の重鎮として活躍し続けましたが、引退後も旭化成の指導者として後進の育成に尽力しました。オリンピックや全日本選手権の監督としても活動し、柔道界の発展に寄与しました。全日本柔道連盟の会長や国際柔道連盟の理事など、多くの重要な役職を歴任し、のちには暴力問題や助成金不正受給に関わるスキャンダルに直面し、辞任を余儀なくされました。

現在も柔道界の運営に関わり、持ち味の指導者として柔道の将来を見据えた活動をしています。上村春樹の柔道に対する情熱は、今後も変わることなく次世代に引き継がれていくことでしょう​。

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