神永昭夫

神永昭夫の生涯

神永昭夫（かみながあきお）は、1936年12月22日に宮城県仙台市で誕生しました。彼は、柔道家として講道館9段の称号を持ち、日本の柔道界で非常に重要な存在でした。1957年には全日本学生優勝大会で優勝し、その後も1958年の世界選手権で準優勝を果たし、彼の名は確実に広まりました。特に、1960年代初頭には猪熊功とのコンビで“神猪時代”を宣言し、全日本選手権を3度制するなど、その強さを証明しました。

経歴と柔道人生

神永の柔道人生は、学生時代に始まりました。東北高校在学中に柔道に目覚め、すぐに頭角を現しました。短期間で昇段試験を受け、19人を相手に勝利をおさめて即日3段の昇進を果たしました。これは当時としては異例のことでした。彼はその後、明治大学に進学し、柔道部に加入。厳しい環境の中で多くのことを学びながら、柔道に情熱を注ぎ込んでいきます。

大学時代、神永は寮生としての厳しい生活を送りました。他の寮生たちと共に苦しい食事を分かち合い、さらに講道館の練習にも参加。帰りには石焼き芋を食べながら、次の練習へ向かう姿は、彼の柔道へのひたむきな情熱を物語っています。大学卒業後、彼は柔道界で多くの選択肢の中から、先輩の曽根康治に推薦された富士製鐡（現・日本製鉄）に勤務することを選び、柔道の道を歩む傍ら、社会人としても成長を図ります。

オリンピックでの栄光と苦悩

1964年には、柔道がオリンピック競技として初めて採用され、日本代表として無差別級に出場しました。期待を背負いながら臨んだこの大会でしたが、直前に左膝の靭帯を断裂。しかし、彼はそのことを周囲に隠し、全力で試合に挑みます。しかし、決勝戦では体格で上回るオランダのアントン・ヘーシンクに敗れ、結局は銀メダルに終わりました。この試合後、彼は一言「ヘーシンクは強かった」とだけ述べ、悔しさを見せず淡々と日常に戻っていった姿は、神永の人柄を示すエピソードの一つと言えるでしょう。

手腕を発揮

神永は、1965年に現役を引退。その後、明治大学の柔道部監督に就任し、数々の選手の指導にあたります。特に無名の選手に才能を見いだし、全日本学生チャンピオンへと育て上げたことは、彼の指導者としての素晴らしさを示しています。その後も全日本の強化コーチとして活躍し、1976年のモントリオールオリンピックで教え子の上村春樹が金メダルを獲得する瞬間を目撃しました。即ち、神永はオリンピックでのリベンジを果たしたのです。

最期とその後

1988年には、全日本柔道連盟の初代専務理事を受任し、さらには日本代表の総監督として臨んだバルセロナオリンピックで選手たちを金メダルへの道へ導きました。神永は1993年に直腸癌のため56歳で亡くなります。彼の死後、講道館より9段位を追贈され、また日本政府からは勲四等瑞宝章が与えられました。彼の柔道界への貢献は後世に語り継がれることでしょう。

神永昭夫の人生は、柔道一筋の情熱と、教え子への深い愛情が溢れるものでした。彼の歩んだ道は、若き柔道家たちの未来に影響を与え続けることでしょう。

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